梅田みかさんの『主婦の掟』を読んだ。
梅田みかさんといえば、色々な著作があるようなのだけど、私が知っているのは唯一『愛人の掟』だけ。しかも、知っているといっても、若い頃、本屋さんに行くと、やたらと目に止まるのがその本だっただけというか。当時のウブな私は(ウブって…w)、「愛人」とか「不倫」とかいうキーワードにはどちらかといえば嫌悪感を持つタイプだったので、すごく興味があるような気はするものの、実際買って読もうとまでは思えなかった気がする。
しかし、色々なことをやらかした20代を経て、だいたい何でも許容できる価値観を身につけ、たいがいのことには驚かない今となっては、読んでみたい気もする。
なぜ今、梅田みかさんか、といえば、理佳ちゃんが最近みかさんに会う機会があったようで、最新刊として『主婦の掟』を紹介してもらったから。
これは早速読みたい。
『主婦の掟』がいかなるものかを知りたいというよりも、私なりに考えていることと似たような価値観がそこにはあるんじゃないか、というなんの根拠もない期待があったから。そして読み終えてみて、とても清々しい。
私は仕事を持っているけど主婦でもあるし、以前サイボーグのように働いていたときと比べると、今は比較的、家庭を大事にするような働き方をチョイスしている。
ありがたい事に、夫のおかげで何不自由なく生活をさせてもらっているし、正直、生活のためには働く必要はないのだけど、私なりのポリシーがあるから外で仕事を持つことにしている。言葉にするほど立派なものでもないんだけど、そのポリシーというのは「批評家にはならない」ということ。
状況に対して不平、不満を言うのは簡単だし、誰かの言動や価値観を批判、否定するのは、私に限らず、誰でもやってしまうことだと思う。でも、そういうのって、自分に自信がない時とか、思い通りの充実感が得られないような時に、出てくる悪い癖な気がしている。もっというと、想像力を働かせる力が欠けている時に起きがちというか。
「知っている」からといって「実際にできる」とは限らない。でも、クローズドな環境にいると、そのことをつい忘れてしまう。
単純作業の要素が強い仕事だと話は別かもしれないけど、ある程度自分に裁量を任される仕事であれば、自分の能力よりも高いことや、経験したことがない何かを求められることもあるから、常に一定の緊張感があるし、「自分が思ってるほど、自分はできないんだな」といい意味で無力感を味わうこともある。こういう環境を持てることは、私にとって「批評家にならない」でいるための方法の1つだ。。
もちろん、専業主婦として家の中にいるということが、必ずしもクローズドになるわけではないんだと思う。心がけ次第で。たまたま私の場合は、外に仕事を持っている方がベターというだけだ。
もう一つ「批評家にならない」ために私にとって必要なのが、自分なりの基準やスタイルを持つということ。それがあると、極端な話、他人がどうであろうと、あまり気にならなくなるから。
「基準」や「スタイル」の中には、ファッションなんかもあるんだけど、状況に合わせたコーディネートを考えたり、マンネリにならないよう何か必ず工夫をする努力をすると、感覚を研ぎ澄ませることにつながる。何か少しでもいつもと違う、そういう小さな変化を作ることが、適度な緊張を保つのにいい気がする。
※実際には、私はあまり根っからのおしゃれではないので、努力はしていても、正しいメッセージとして外部に伝わっているかどうかは分からない。
いつだったか、私が洋服を買ったり、コーディネートしたりしているのを見て、夫が「そんなのどこに着て行くの?仕事行くだけじゃん。」というようなことを言った。それは違う。私に言わせれば、むしろ、「素敵なお洋服を着る機会を作るために仕事に行ってんのよ!」だ。
※広報担当でもあるので、一応名誉のために言っておくと、全般的に「働きに出る」ということについては、毎日それなりの身なりで外出したい、という上記のようなことを含むモチベーションが働いているけど、働き先としてコンセントを選んでいるというところには、もちろん、ちゃんとした理由がある。
私はあまりちゃんとした人間ではないので、専業主婦だったら多分、絶対に毎日ジャージで過ごしてしまう。そうすると、体型が変わっても気づかないような気がするし、野暮ったい人になりそうではないか。そんな人と一緒に暮らすのは、夫にとっても良くなかろう、というわけで、「奥さんには、お洋服を買ってあげた方がいいよ」という風にすりこんであるし(謎)、夫も洋服好きなので、デートがてら一緒にショッピングにでかける。実際には、私もお給料をもらっている身なので、自分のものは自分で買うことも多いし、「貢いでもらってばかりいる」みたいなことではないんだけど。
では、そもそもなぜ「批評家にならない」でいる必要があるかというと、家庭内にネガティブな空気が漂うのが嫌だから。ウジウジと批判的なことを言ってる人がいたら誰でも嫌に違いない。特に仕事から疲れて帰って来て、そんな話を延々と聞かされるなんて、まっぴらごめんと、世の旦那さんたちは思うはずだ。なんの解決策も提示しない、ただの批判は、本当に無駄。それに、他人を批判することでしか、自分の幸せを感じられないとしたら、それこそ不幸。
家庭内に限らず、これは友達関係の中においても良い効果があるようで、「批評家にならない」ようにと、なんとなく無意識に行っている事柄や判断が、友人達から見ると「面白い」とか「魅力的」とかに見えるようなのだから興味深い。そして、一石二鳥だ。
そしてもう一つ、「批評家にならない」ために外との接点を持っていることの良さとして、夫のことを理解できるということもある。私と夫は仕事内容は違うから、本当の意味で分かってるわけではないけど、私自身が仕事を持っていることで、帰りが遅くなるとか、時には休日にも仕事の必要があるとか、そういう状況を理解してあげられる。プラス、私は私で別に関心事を持っているので、極度に彼のことだけにとらわれることもないし、お互い干渉しすぎずに適度な距離感を保てる。これが、関心の対象が夫だけとかだったら、息がつまるに違いない。(1回目の結婚の時はそんなところがあった)
…と、やたら長文になったけど、『主婦の掟』を読みながら、共感すると同時に考えていたのがそんなようなことだった。
「主婦の掟」
それは、結婚で幸せになるための掟
まさにそういうことだ。
結婚が幸せにしてくれるわけではない。
結婚で幸せになるための、「何か」(この本で言うところの「掟」)が絶対に必要なのだ。
結婚観は人それぞれだし、夫婦ごとにも違うだろうから、必ずしも、書かれている「掟」がその通り全部正しいとは言い切れないんだろうと思うけど、私が心がけていることとか、無意識のうちに行動していたことと、結果的に似ている、と思うところがたくさんあった。
結婚している人も、まだしていない人にも、何らかの形で「結婚」に興味がある人は読んでみるといいかもしれない。