UXDの10の誤解
Posted in IA / UX / HCD / UI on 1月 31st, 2009 by chibirashka – 6 Comments大企業でもない限り、肩書きに何を名乗るかは比較的自由で、ある意味、名乗っちゃったもん勝ちなところがあると思う。
でも、同じ肩書きを名乗るとしても、それが指す範囲は名乗る側(組織)によっても違うし、その言葉を聞いた受け手によっても違う。
あ、ここで「肩書き」と言っているのは、課長、部長、主査、といった職位ではなく、職能のことね。
特にWeb業界の場合は、業界自体が比較的新しいし、進歩する技術によって初めて実現される事柄が出てきたり、何かと何かの関係性が新しく生まれたり、ということが多いので、新技術の名前だけでなく、それに対応できる人の能力や職種を表す言葉もどんどん生まれているような気がする。
そんなに新しいってわけでもないけど、「Information Architect」っていうのもそうだろうし、日本特有の「Web Director」というのもそうだろうし。最近だと(私にとっては)、「Interaction Designer」とか。もう1つおまけに「User Experience Designer」とか。
User Experience Designって、直訳で「ユーザー経験をデザインする人」なので、相当意味が広い。じゃー、全部じゃん!魔法使いか!?とか思う。かといって、「物事を、使いやすく、分かりやすく、使い心地よくする人」って言うと、それはそれでシンプルすぎじゃん?って気もするし。
というわけで、そんなことを考えてるのは私だけじゃないようで、こんな記事を発見。
10 Most Common Misconceptions About User Experience Design
〜ユーザーエクスペリエンスデザインに関するよくある10の誤解〜
Whitney Hessという人が書いた記事だけど、彼女はこの記事を書くにあたり、Peter MerholzやDan Saffer、Dan Brown、Louis Rosenfeld、Luke Wroblewskiなどなど、たくさんの人たちにTwitter DMを打って、ヒアリングした上でアイディアをまとめているので、彼女の思い込みだけで創作されたものではなく、UXD周りにいる、多くの人たちのコメントの引用で構成された興味深い記事となっています。
ちなみに、10個の誤解はこれ。
User experience design is NOT:ユーザーエクスペリエンスデザインは・・・
1. user interface design:ユーザーインターフェースではない
UIはUXの構成要素だが、パズルの1ピースでしかない。
2. a step in the process:プロセスの中の1ステップではない
UXDは、ユーザーの振る舞いに対応し進化させていく継続的なプロセスである。
3. about technology:テクノロジーのことでもない
人々の目的の達成を助けるためにテクノロジーは使うものであって、あくまで本来の意図は、すごいテクノロジーを作ることじゃなく、人々を助けること。
4. just about usability:ユーザビリティだけでもない
モノ(コト)を簡単に直感的にするだけじゃ不十分で、人々に態度や反応を変えさせるため、彼らが使いたくなるようなモノ(コト)を作る必要がある。
5. just about the user:ユーザーのことだけ見てればいいってもんでもない
そこには必ずビジネスの目的があるのであって、必ずしもユーザーのみにベストな判断ができるわけではない。ブランドのことも考えつつユーザーニーズとビジネスゴールの間のちょうどいい塩梅を見つけることが大事。
6. expensive:高くない
フルフルのUCDのプロセス、ペルソナやユーザーリサーチといった手法に執着しがちで、そうすると、コストも高くついて、永遠に時間がかかりそうに見えるけど、実際にはプロジェクトごとにそれにあったメソッドを取り入れ、いくつかのUXDテクニックを導入し小さく改善するという方法を取ることで、あらゆる制約の中でもカスタムメイドのアプローチを取ることができる。
7. easy:簡単じゃない
クールで効果的と思われる取り組みの実施方法は知ってても、その全体のプロセスがそんなに簡単でないことも分かってるし、また別の難しさとしてよくありがちなのが、自分たち自身をエンドユーザーだと思い込んでしまうという罠。
8. the role of one person or department:誰か1人とかどこか1つの部門の役割ではない
UXDは連絡窓口な存在であって、特定の主題に特化した専門家でもなければ、医者でもないし、マジカルな存在でもない。聞き方に長けているというスキルを生かして、組織の中で、最も効果的なプロセスについて説くことを助けることはできるけど、ビジネスが成功するかどうかは、結局はそこに関わる全メンバー次第である。
9. a single discipline:1つの専門領域ではない
UXDはまだかなり新しいので、専門領域としてちゃんと確立していない。せいぜい、いいデザインを気にしている異なった専門領域の人々をつないでいる、認識程度のもの。必要な何か全てを遂行するために、UXDの領域にありとあらゆる専門性を期待しちゃだめ。
10. a choice:選択できる問題ではない
ダメダメなデザインを最初からゴールとして設定するわけがないので、自分たちが提供してるものが低品質で不完全だなんてことは信じたくないのが普通。(UXDを意識的に排除したわけじゃなくても、実際にはいいユーザーを体験を与えていないデザインが多い、っていう含蓄かね?)
しかし、やはりユーザー経験をデザインすることは、ありとあらゆる要素が絡むことなので、User Experience Design is not… という排他的な言い方はできても、User Experience Design is…と、宣言的な言い方は難しそうですね。
UXDの皆さんは、これ読んで共感するのかしら、どうなのかしら。ぜひ教えて欲しいとこです。このエントリーへのコメントを見る限りだと、賛同者が多いようだけど、日本でも同じ反応なのかな。
※私の訳は、超ざっくりすぎて、誤解とかありそうなので、原文を読んでください。