『デザイニング・ウェブナビゲーション』読書会
Posted in Book, IA / UX / HCD / UI, カンファレンス・勉強会・仕事 on 8月 10th, 2009 by chibirashka – 5 Comments8日の土曜日、linkerさん主催の『デザイニング・ウェブナビゲーション』読書会(第2回)に参加しました。会場はコンセントのサロン。
『デザイニング・ウェブナビゲーション ー最適なユーザーエクスペリエンスの設計ー』は、Myボス長谷川さんが、浅野紀予さんと共に監訳した本で、3月に行ったIA Summitでは、原著者のJames Kalbach氏にもお会いしているので、とてもなじみ深い本。
読書会は、各参加者が1章ずつ担当し、内容をまとめて、参加者全員でそれを共有し理解を深めるというもの。全部を自分で読むと大変だから、分担して読むことで負担を減らしつつ、学ぶべきエッセンスは学べちゃう、みたいな良さがある。特に翻訳されていない原著の場合は。
ただし、日本語版の場合は、自分で読んでも、べらぼうに時間がかかるってものでもないので、負担が減るということよりも、読んでいて疑問に思うこととか、他の人はどう感じ、普段の業務ではどうしてるんだろうか、というようなことをディスカッションできる、というメリットの方が大きい。
1人でただ本を読むだけだと、読みながら疑問に思ったところがあるとしても、読んでいる間にそのことを忘れてしまって、そのままになりがちだけど、自分の担当分があると、人に説明するためによく読むし、深く考えることになるので、何がどう分からないかということも明確になるのではないかしら。
今回の読書会で、私は第8章の「アーキテクチャ」という部分を担当した。
8章の概要:
説得力のあるアーキテクチャのためには、ナビゲーションコンセプトに基づいた「サイト構造」と「ナビゲーションの組織」が大事である。
- ナビゲーションをデザインする際には、マクロレベルとミクロレベルのアクションを念頭に置くこと
- ナビゲーションコンセプトとは何か、またどのように作成するか
- 情報構造にはパターンがあり、最適な型を選択し組み合わせよ
- 各構造パターンについて(直線型、ハブ&スポーク型、ウェブ型、階層型、ファセット型、発生型)
- 組織化とはなにか、またどのように組織化を行うか
- 構造、組織化を検討したら、体系的かつ視覚的に示すためにサイトマップを作成せよ
- サイトマップのレベルと構成要素、作成方法
このうち、ナビゲーションコンセプトのところで、「ジャンル」と「メタファー」という2つの方法が提示されていて、もちろん言葉自体は分かるのだけど、その説明がイマイチ腑に落ちないでいたところ、長谷川さんと浅野さんが「ジャンルとメタファーは対立するものではなく、両立するものである」ということや、「原著でも”ジャンル”は”genre”」となっていたが、言い換えればステレオタイプや定型、といったもの」と説明してくれた。
また、本の中では「ジャンル」の例として、新聞が挙げられていたけど、新聞の場合は、ヘッドラインや一面記事、見出し、といった定型(ジャンル)として捉えることもできるし、めくれる、あるいは面で全部を一覧できるというメタファーとして捉えることもできる、と補足してくれたので、すっきりした。
他にも、情報構造のパターンのところで、「ウェブ型」と「発生型」というのがあり、「ウェブ型」の例として、私はこれまでwikiっぽいものを想像していたので、「発生型構造の典型がwikiです」という文章を見て、じゃー、「ウェブ型と発生型の違いは一体何で、どうしてわざわざパターンを分けてるんじゃー!」と本を読んでる時に思っていた。
これについても、「ウェブ型」ではリンクが増えていくイメージ、「発生型(原著ではemergent structure)」ではコンテンツが増えていくイメージ、と補足してもらった。超ざっくり言えば、発生型の方は、SNSとかCGM的な活動というニュアンスっぽい。
でも、だとしたら、「発生型」が構造のパターンの1つとして扱われること自体がちょっと気持ち悪いな、と思っていたところ、この著者はいたって論理的に書いているように見えて、実はファジーな面もあり、この本の特徴(?)として、カテゴリがけっこう曖昧だったり重複しているところも多い印象があるよね、という話も出ていた。
というあたりも含め、監訳者の2人から直接説明をもらえるという何とも贅沢な読書会だったなぁ、と。
読書会って実は初めて参加したのだけど、自分の理解が深まるという点で満足度高かったし、また、他の参加者の発表を聞いて「あ〜、こういうところ気になるんだな。。確かに・・」というのも分かって、興味深かったです。
全体のオーガナイズをしてくださったcremaさん、ありがとうございました。
私の担当分の資料:
この本は、理論から実践まで網羅されていて、一時的なハウツーものではないので、Webの設計をやる人から、実際にビジュアルデザインを担当する人など、どの立場の人にも役立つ本だと思います。
そういえば、金曜日のHCD-Netサロンでお会いした面白法人カヤックの方も、カヤック社内でこの「デザイニング・ウェブナビゲーション」を使って勉強会をしていると言ってました。
まだ読んでいない方はぜひ!