車に求める未来
Posted in IA / UX / HCD / UI on 10月 31st, 2011 by chibirashka – Be the first to commentたまたまFacebookでリンクを見つけて、『トヨタ未来カーライフ研究所』にあったムービーを見てみた。
よく出来てるなと思うけど、なんだか釈然としない。
我々が車(あるいは自動車メーカー)に求めてるのって、こういうことなんだろうか?
データ引っ張ってきて実行させるようなエージェント的機能であれば、iPhone OS5で搭載されたSiriのように外部デバイス&ソフトウェアで解決すればいいんだし、何も車メーカーが声高にアピールすることではないような気が…。
このムービーの中で共感できた部分は、普通なら目視できない脇道の車の存在を教えてくれるとか、一番最後の自動で駐車してくれるとか、そういうところぐらい。
何よりも、一番の違和感は、ムービー内の風景が都市っぽいんだけど、東京とかニューヨークのような都市だと、そんなに車使う必要性がそもそもないから、車の中で何でもかんでも解決しよう(レストラン予約するとか花束手配するとか、家のエネルギーマネジメントするとか)とかいうシチュエーション自体がないというか…。
もちろん都内でも日常的に車使う人はいるし、ものすごい忙しい人には便利なのかもしれない。
でも、公共交通機関が充実しているような都内で、あえて車に乗る人で、なおかつ激忙しい人って、そもそもアシスタントがいたり、ちゃんとしたコンシェルジュサービス使ってる人の層なんじゃないかと思ったり…。
自分で予約・手配しないといけない(あるいは自分でやりたい)けど、電車には乗らないって人は(例えば、ホリエモンとか)、タクシー使うでしょう。
ムービーの中の登場人物は「豊田さま」なわけで、設定も豊田市や名古屋周辺なんだろうな、と思えばシナリオにも納得できるかも!?
顧客を増やすこと、顧客でいつづけてもらうことといった利潤をきちんと追求する企業活動のほか、国力にもつながるような技術的な将来像を示すこと、グローバル企業としての持続可能な社会実現のための活動などなど、トヨタさんぐらいの大企業になるとさまざまな責任があると思うので、単にこのムービー1つ取り上げて、いいとか悪いとか、そういう話はもちろんできないんだけど、1消費者の目線で見ても、IA/UX/サービスデザインに関わる会社にいる人間という立場で見ても、今ひとつピンとこないな、というのが正直なところ。
もちろん、このムービーが訴えたいのって、コンシェルジェサービス的な部分ではなく、より身近な存在(自分のことをよく分かってくれている)としての車といったコンセプトや、エネルギーに関すること、渋滞予測やアクティブセーフティといったこと…etc、さまざまな要素が含まれた、未来を想像させるものであるはずだから、都内のシチュエーション云々で「腑に落ちない」とワーワー言うのは、筋違いだろう。
いや、でもしかし、機能ありきで物語が進んでいる気がしてならない。
車内でソフトウェアレベルで対応できる何かよりも、トヨタ車のオーナーだったら、どこいっても駐車場が無料とか、トヨタ車のオーナーだったら、どの商業施設にいってもバレーパーキングが利用できるとか、トヨタ車のオーナーだったら、高速道路で専用レーンで渋滞と無縁…とか、そういう方がユーザーとしては嬉しいんじゃなかろうか…。
そして、それぐらい社会の仕組みにまで手を入れた、包括的なサービスとプロダクトの提供ができる可能性があるのって、トヨタぐらいの企業なんじゃないだろうか。だからこそ、期待!
(もちろん、トヨタ車に限らず、どのメーカーでもいいんだけど日本勢に頑張って欲しい)
先日、サンフランシスコで開催されたサービスデザインカンファレンスに行ってきたけど、「Service Designer」という肩書きの人がたくさん来ていた。タイトルはタイトルでしかないけど、サービス全体をデザインする、包括的なユーザーエクスペリエンスをちゃんと考えることができる、そういう文化を持つ企業は多分増えている。そしてこれからますます大事になるであろう、と思っているところだったので、ちょっと食いついてしまいましたw
トヨタ未来カーライフ研究所
http://www.toyota.co.jp/toyotacarlifelab/