夏真っ盛り!35度以上の猛暑日が何日も続いたりして、こんなに暑いと何を着たらいいのか、本当に困ってしまいますね。
ところで先日、浴衣を着てタクシーに乗っていたところ、運転手さんに「涼しげでとてもいいですね」と言われました。浴衣を着たことがある方は同じような体験をしたことがあるかもしれませんが、着ている方としては決して涼しくはないですよね。
でも確かに、風鈴を見たり、浴衣姿の人を見るとなんだか涼しげに感じることってあります。風鈴や浴衣がそばにあるからといって気温や湿度が下がるわけでもなく、扇風機のように直接的に涼しさを与えてくれるものではありません。
それでも、なんとなく涼しく感じるのは、風鈴の場合は、少し揺れていると風の存在を感じることができるからかもしれませんし、また浴衣の場合は、洋服以上に体を覆う面積が多い分、うなじ(首)や手首、足首といった覆われていない部分がよく目立ち、そこに「隙間」を感じるからかもしれません。適度に肌が見えると軽やかに見える、洋服のスタイリングで言うところのいわゆる「抜け感」にも近いかもしれませんね。
そんな風に、視覚から得られる涼というのがあると思います。
今日は、目で見る涼しさをコーディネートのなかに取り入れるためのアクセサリー使いについて考えてみましょう。
秋冬と違ってレイヤード(重ね着ファッション)しづらい季節だからこそ、コーディネートにアクセントをつけるのにもアクセサリーは重宝しますよ。
どうやって涼しさを演出するか
さきほどの、身の回りにあるなんとなく涼しさを感じさせるものからヒントをもらいましょう。
風鈴や浴衣の例で言えば、「風が感じられる」「隙間がある」ことで涼しさが感じられるという話をさきほどしました。ほかにも、金魚鉢は直接的に「水を感じさせる」ものですし、ゼリーなんかもやはり涼しげな「透明感」があります。貝殻やシーグラスからは海を連想させ「波音が聞こえてきそう」です。
そうやって考えていくと「涼しそう」を作る要素は色々ありますね。
5つほど次のようなキーワードを挙げてご紹介していくことにします。
- 揺れる
- 隙間がある
- 線が細い(華奢)
- 透明感がある
- 海を感じさせる
早速、みていきましょう。
1. 揺れる
写真は、スリーピングビューティと呼ばれるアリゾナの鉱山で産出されたターコイズを使った揺れるピアス。ターコイズって12月の誕生石なのに夏のイメージが強いですよね。夏の空や海を連想させるからでしょうか。
さて、ピアスやイヤリングはサイズで言えば小さなアイテムですが、コーディネートのなかで果たす役割は意外と大きいものです。極端に大きなものを選ばなくても、顔の近くにあるために人の注目を集めるからです。
風が吹かなくとも、歩くと自然に揺れるピアス。髪の毛をまとめておけば、より、ピアスの動きが強調されますね。
2. 隙間がある
これはゴールドのラリエットです。ラリエットはネックレスのように使える、輪になっていないひも状のアクセサリーです。写真のように首に巻きつけるようにして使うことも、胸元で一結びして使うことも、あるいはデザインによってはベルトとしてウェストマークに使うこともできます。写真のラリエットでは、房のようになっている先端はもちろん、格子状に接合された細い金属の集合によっても隙間が作られています。一枚のベタっとした太ベルトのようになっているよりも、「抜け」ができることで軽さが出ると思いませんか?
3. 線が細い(華奢)
ゴールドとターコイズの細いチェーンネックレス、そしてゴールドの細いチェーンネックレスです。
面積が大きいと肌にまとわりつきそうな印象で、ともすると暑苦しさを感じてしまいますが、これぐらい細いと密着感があまり出ず、見た目にはサラサラしています。
ちなみに、この2つのネックレスはステーションネックレスと呼ばれるタイプのものです。ターコイズの方がわかりやすいのですが、ターコイズの粒と粒の間にチェーンがあります。駅と駅とが線路で結ばれているようにも見えますね。そして、粒同士は数珠つなぎのようにはなっていません。つまり、このネックレスたちには、2で触れた「隙間がある」の要素も持っていると言えます。
また、下の写真(ゴールドの細いチェーン)のネックレスは、ロングネックレスなので、首からさげた時に、お腹のあたりまで垂れ下がることになり、歩く度に揺れます。ですから、1で触れた「揺れる」の要素も持っています。
4. 透明感がある
最初の写真は、透明の樹脂でドライフラワーを閉じ込めたイヤリングです。水に丸い形を与えたかのような透明度で、触ったらなんだかひんやりしそう。ビー玉のようでもありますね。
2つめのピアスはベネチアングラスでできたピアスです。写真では少しわかりにくいですが、柔らかい黄色とのマーブル模様のように絵付けが施されているので、1つめの樹脂のものほど透明度はありませんが、ガラスならではの透明感があります。
どちらも浴衣にも合わせやすそうです。お気づきの通り、2つめのピアスは1の「揺れる」の要素があり、風鈴のようですね。
5. 海を感じさせる
夏といえば海。太陽が照りつける海をイメージしてしまうと余計に暑くなってしまいますが、ここではやはり波の音や波が引いていくひんやりした砂浜の方をイメージしたいところ。そんな海を感じさせるアイテムといえば、筆頭はやはりシェル(貝)ではないでしょうか。海を感じさせる素材を使ったアクセサリーも涼しい要素をもっています。
1枚目の写真のピアスは真ん中の丸いパーツがシェルでできています。素材が涼しげなだけでなく、1の「揺れる」、2の「隙間がある」、3の「線が細い(華奢)」の要素も持っているので、涼しさ全開のピアスといえそうです。実際、私が持っているピアスのなかでも、夏の時期はこのピアスの出番が一番多くなります。
2つめの写真は、タヒチに行った友達がお土産でくれたピアスで、ブラックパールが使われています。また南国らしい花のモチーフのパーツもついています。このピアスも1の「揺れる」要素があります。
3つめに紹介するのは、シェルでできたリング。
貝の原型をとどめたパーツを組み合わせているので、なんだか波音が本当に聞こえてきそう。指輪も、結婚指輪のようなバンド型のものはすっかり指に馴染んでしまいますが、こんな風に大ぶりのものは、それだけでコーディネートのアクセントになります。
4つめに紹介するのはガラスのピアスとネックレス。どちらも、ローマンガラスと呼ばれるもので、古代ローマの遺跡から発掘されたガラスをパーツとして使っているものです。
銀化現象も見られるので、かなり長い期間地中に埋まり、砂埃まみれのなかで掘り出されたものでしょうけれど、海岸を歩いてると見かける、波に削られて角が取れ透明感がなくなったシーグラスのようにも見えます。特に、ガラスの色がブルーなところも海っぽさを感じさせるのかもしれません。
今日はピアスやネックレスといったアクセサリーを中心に考えてみましたが、涼しそうなイメージを構成する5つの要素は、アクセサリーだけでなく洋服のなかにも発見できますよ。
これだけ暑いと、どれだけ薄着しても肌の露出度をあげても、自分が快適と思えるほどに涼しくなるのは難しいのが現実。それならいっそ、人のために涼しさを演出する方向にしてみてはいかがでしょうか。洋服を着るということ、装うことは環境を作ることだと思います。みなさんの存在は環境を構成する一部なのです。
すれ違う誰かや、今日会う誰かが涼しさを感じられたらいいと思いませんか?
みなさんも、ぜひ、手持ちのアクセサリーや洋服のなかから「涼しそう」を作っている要素を探して、コーディネートに取り入れてみてください。