今日はHCD-Net(人間中心設計推進機構)の地方自治体Webサイトのユーザビリティ評価(引越部門)2008結果報告会に行ってきた。
昨年9月12日に、HCD-Netが主催する、地方自治体ホームページ(引越タスク)のユーザビリティを評価するワークショップに参加し、その実践編というカタチで、アサインされたいくつかの自治体サイトの評価を何度か行ったという経緯がある。
【本自治体サイトユーザビリティ評価の方法】
事前審査:
人口13万人以上の地方自治体305サイトからHCD(Human Centered Design)の専門家のヒューリスティックにより114の自治体サイトを選出。
1次審査:
HCD-Net規格化/認定事業部のメンバーが簡易評価シートを用いて、基本的な引っ越し手続き情報の掲載とある程度のユーザビリティが確保されている52サイトを抽出。
2次審査:
上記ワークショップを受講した審査員で評価。
最終審査:
HCD-Net理事および規格化/認定事業部メンバーにより審査。1次審査結果を検証する方法により、1次審査でトップ10にランクしたサイトをエキスパートレビューの観点で協議。総合1位〜3位までの3サイトと優秀サイトとして2自治体を選出。
ちなみに、2007年度も同様の自治体サイト審査を行っているんだけど、その、ペルソナ・シナリオ法を用いた評価プロセスについては、DESIGN IT! magazine vol. 1で詳しく取り上げられているので、興味ある方は雑誌を読んでみてもいいかも・・・。と、思ったら、オンラインで読めるようになってた!
【2008年度ランキング】
総合1位:兵庫県尼崎市
総合2位:千葉県習志野市
総合3位:茨城県ひたちなか市
優秀サイト:川崎市麻生区
優秀サイト:愛知県小牧市
今日の報告会では、これら自治体への表彰と、ワークショップ受講者(審査員)への認定証授与が行われた。「認定証っておおげさな!」と思うんだけど、それは、徐々に高まって来たユーザビリティ専門家の必要性に対して、規格化や認定システムを作っていこうとする活動の一環でもあるっぽい。
ワークショップ修了証
HCD-Netでは、内閣府内閣官房IT担当室からの要請を受けて、電子政府向けのユーザビリティガイドラインの策定を行っているようなのだけど、今日のプログラムの冒頭で、黒須機構長から、こうした活動の概要報告があり、黒須先生はガイドラインの策定意義として次の3つを挙げていた。
- 国レベルでのユーザビリティへの取り組み
- ユーザビリティ専門家の必要性
- 官の担当者にユーザビリティの知識と意識を
この中の2つめが、認定システムへの取り組みを促進する契機になっているそう。
電子政府の現状としては、13,000申請書のうち、年間10万件程度の利用がある主要申請書は166に過ぎず、ネットでの利用が全くされていない(0%)ものが36.1%に上るとのこと。つまり、仕組みは作ったけど、使われていないってこと。
パスポートの電子申請の例が衝撃だったんだけど、開発コスト数十億を申請(発給)利用件数で割ると、1冊あたりの発給コストが数千万になるという、ダイヤモンドをちりばめるよりもよっぽど高価なパスポートになっている現実・・・。
と、まぁ、仕組みが使われない理由は色々あるんだろうけど、その1つとしてHCDの検討不足があるんだろう、というところから、今回のガイドライン策定の話が出てきている。
ユーザビリティガイドライン自体は、ユーザビリティ向上のための、個々のインターフェースを取り上げてまとめたものではなく、PDCAサイクルを明示し、プロセスを提示しているのが特徴とのこと。PDCAのPの部分だけで、ガイドラインの7割を占めるのだとか。これは、各省庁の担当者が、ユーザビリティをよく理解したうえで、RFPを記述することができるように、という意図がある。
この内閣府電子政府ユーザビリティ・ガイドラインについては、5月28、29日に札幌で開催される、HCD-Netフォーラムで詳しく説明されるそうなので、興味がある方は、行ってみてはいかがでしょう。
ついでに宣伝だけど、HCD-Netフォーラムでは、Myボス長谷川さんも、「成長するWebサイトリニューアルプロジェクト HCD-Netサイトリニューアルの事例紹介」という講演を行う予定なので、状況が許す方はぜひ札幌へ!
それにしても、ほんとソシオメディアの篠原さんって、素敵だわぁ〜。会う度にいつも感動する・・・。