愛犬と楽しむ温泉旅館 伊豆修善寺 絆
Posted in Luxury Experience, Travel, サービスデザイン, ホテル, ワンコ旅, 国内旅行 on 5月 23rd, 2012 by chibirashka – Be the first to comment週末、またまたワンコさんを連れ旅行に行ってきた。
今度は伊豆修善寺。修善寺に行きたかったわけではなく、「ここだったら泊まってみてもいいかな」と思う宿があったのでそこに。
我が家の旅行は例によって唐突なので、今回もチェックインの1週間ほど前に空室状況みたら、偶然空きがあったのでたまたま。離れの特別室には囲炉裏の間とか露天風呂がついていて本当はそこが良かったけど、もうそういうお部屋は埋まっていたので、本館の普通のお部屋に。
ここの宿良さそうだなと思った決め手は、犬も人間も両方ともが満足できそうなところ。
人間用の宿に「ペットもどうぞ」というスタンスだと、犬連れて行くには設備的に何かと不便だったり、あるいは迷惑をかけちゃいけないという落ち着かなさがあったりする。逆にペット可をアピールしている宿だと、ある意味ではペット連れ客の足元を見たようなサービスだったりする。その「足元を見た」感じというのが、金額の高さなのだったらまだいいんだけど、「えー、こんな宿、バックパッカーとか海外貧乏旅でもない限り泊まりたくないんですけどー」という設備だったりすることもまぁ、多々ある。もうなんというか明らかに、「人間用として普通に営業するには競合に全く勝てる見込みもないから、経営悪化をなんとか再生すべくペット受け入れ型に転向した」というのが見え見えのようなね。
今回お世話になったこの宿は実際に人間、犬とも大満足な宿だったと思う。(だと思う、というのはワンコさんの意志の本当のところは分からないからw)
◆犬連れに嬉しい宿の条件は犬連れの制約がゼロであること
ペットOKを謳っている宿って最近はけっこういっぱいあるんだけど、我が家のような犬の飼い方をしていると、そのペット宿のうちでも泊まれるところというのは半減してしまう。
なぜなら、ペットOKと言っておきながら実は落とし穴があったりするから、例えばこんな。
- 犬は専用エリア(ホテルに附属するペットホテル)に預けなければならない
- 犬はロビーエリアなどを共用エリアを通れない(通るには頭まですっぽり隠れるドッグキャリーが必要)
- 犬は客室に一緒に入れるけど、飼い主が部屋を離れるときにはケージの中に入れなければならない
- 犬はダイニングルーム(レストラン)に連れていけない
- 宿にペットに必要な備品(トイレシーツ、タオル、消臭剤、コロコロシート、ウンチ捨て場など)がない
- 宿や宿周辺にペットフレンドリーな施設(ドッグランやカフェなど)がない
我が家では、家の中を犬達が人間と同じように自由に歩きまわれるようにしているので、ケージにいれるとかケージが天井まで積まれたようなペットホテルに預けるなんてちょっと考えられない。そういう躾を小さい頃にしなかったから、突然ケージに入れと言っても、犬達だって慣れていないからできないし。
それに国内旅行の場合、我が家は夫婦の楽しみのためというよりはワンコさんのために連れて行くのだから、100%の時間をワンコさんと過ごしたい。
そういうわけで、ペット可と言われるところでも泊まれるところは多くないのだ。それに加えて人間達の満足度(食事や部屋のキレイさとか)まで加味し始めると、本当に選択肢が少ない。若い頃はペンションとかでも楽しかったけど、最近は普通のホテル程度のところに泊まりたい。
で、話を戻して、今回の「絆」というお宿。
サイトを見てみても、ちゃんと普通の宿な予感。
http://kizuna-shuzenji.com/
こういうサイトから受ける印象ってやっぱり大事だなー。
グロナビにいきなり「愛犬」って入ってるあたりが、「あ、犬連れてってもほんとに大丈夫そう」という安心感につながるし、同時に「料理」というメニューがあるあたりもこれは人間も満足できそうだなという期待をもたせる。
こうしてウェブを見ていてもそうだし、実際泊まってみたうえでそのサービスから受け取った印象からもそうなんだけど、この宿、本当に100%ペットフレンドリー。ペット宿にありがちな変な落とし穴がないのはもちろんなんだけど、人間の嗜好にもばっちり応えてくれた。宿全体でペット連れに関しての制約が一切ない。
人間と犬のための絆のサービス
温泉宿としての振る舞いと、ペット宿としての両方で十分満足できる。
●お料理
お料理は温泉旅館らしくお部屋出しの会席料理。らくちーん。
普段からけっこういいお店に行くことも多いし、グルメとまでは言わないけど、自分でも料理するからそれなりに料理の味とか見た目とか食材とか気にかけている方だと思うけど、そんな私でも満足。行く前までは「高級旅館、温泉旅館といっても、ワンコOKって言ってるぐらいだからあんま期待できないかもなー」と若干疑っていたけど、ほんとすみませんでした(汗)。本当に美味しかった!
そして、ワンコさん用のワンコ御膳まであったw
ちゃんと手作りだしすごく美味しそう。
内容は、
- 満月おからバーグ(軟骨入り鶏ひき肉、おから、鶏卵、干ししいたけ)+付け合せ(じゃがいも、無塩バター、とうもろこし、人参、ブロッコリー)
- 豆乳南京スープ(南京、豆乳、枸杞の実、ブロッコリースプラウト、ラディッシュ、青豆)+鰯はんぺん巻(鰯、魚のすり身、大和芋、焼き豆腐、白胡麻)
- 黒米リゾット風(黒米、白米、鶏がらスープ、トマト、アルファルファ、鰹粉節、百合根、ミント)
朝ごはん(人間用)もものすごい品数!そして豪華。これって夜ご飯のメニューに入っててもいいんじゃないか?と思える凝った料理が惜しげもなく何品も献立に入っている。
●お風呂
我が家が泊まったお部屋には露天風呂はなかったけど、普通のお風呂はあった。このお部屋のお風呂の方はワンコさんと一緒に入ってもOKと言っていた。結局、私も夫も大浴場に交代で入りにいったので、お部屋のお風呂は入らなかったけど。ちなみにお部屋にあるアメニティはブルガリのものだった。ブルガリのアメニティ、パッケージ変わったね。洞爺湖ウィンザーの時よりもっとライトな感じになってた。
大浴場の方も、脱衣所まではワンコ連れOKらしく、リードフックや粗相したとき用のシートなどその他必要なものが常備してあった。
大浴場には露天風呂も。
●お部屋
本間のほか広縁もあって広々。
そしてワンコさんに必要な一式が置かれたエリアも。
夜には仲居さんと番頭さんがおふとんを敷きにきてくれる。しかしここでハプニングが。
お布団を敷き終わって、仲居さんと番頭さんが部屋から引き上げたあと、私と夫がちょっと目を離した隙に、(多分)TAFFYがお布団の上で粗相した。家でもベッドの上で粗相したことないから興奮してたのかもしれないけど、それにしても困るー!シーツがちょっと汚れたぐらいだったらいいけど、もろにお布団にまで被害が…。
すぐフロントに連絡すると、仲居さんと番頭さんが来てくれて、嫌な顔もせず「心配いらないですよ。大丈夫ですよ。」と全部新しいものに入れ替えてくれた。
こういうのすごい嬉しい。多分子供連れの場合でも同じだと思うけど。
●ワンコ用設備
このお宿、ドッグランが屋内にも屋外にもある。しかも、それぞれ期待以上。
屋内の割には広そうだったし、屋外も「とりあえずあります」という風ではなく、芝生の広い整備されたドッグラン。
雨男の夫との旅行だと雨が降る可能性も高いし、室内でも遊べるのが行く前から分かっていたから安心だったw
結局晴れたので屋外ドッグランに2回連れていった。
広々した芝生に、日陰を作ってくれるテントとその下にはワンコさん用の飲料水とボウル、入り口にはボールなど遊び道具、場内の数カ所にうんちを捨てるためのエチケットボックスやオシッコを洗い流すための水の入ったペットボトルも。
宿の玄関から1分ほど歩いたところにあるんだけど、玄関先にはお散歩セットも常備されていた。お散歩セットは小さなトートバッグなんだけど、ウンチ拾いバッグ(ペーパー+袋)、ペット用虫除けスプレー、オシッコ流し用の水の入ったペットボトル、ペットシーツ数枚といったものがあらかじめセットされている。超便利。お部屋からはリードを付けたワンコさんだけ連れてきたら、玄関先でそのお散歩セットをひょいと持っていくだけなんだもん。
動物の有識者である仲居さんの存在
この宿で一番満足度を上げているのはもしかしたらこれかもしれない。
旅館には仲居さんがいて当たり前なんだけど、この旅館では単に仲居さんや番頭さんが犬好きとかではなく動物のプロフェッショナルなんだよね。専門性を持った仲居さんって新しいかもしれない。詳しく聞かなかったけど、多分、トリマーやドッグトレーナー、アニマルセラピスト、動物看護師、動物園などの飼育係といったところに就職するのが一般的なような学校で勉強した人達っぽい。
だから、犬達がどう扱われたら嬉しいか安心するかといったことを分かっているようだし、その飼い主がどう感じるかというのも把握できるんだと思う。
我が家の担当の仲居さんは友香さんという可愛らしい女性だったんだけど、RANDYもTAFFYも友香さんのことがあっという間に大好きになった。
夜の会席料理を運んできてくれる時も、部屋に入ってくる度に出迎えに行き、また別のお料理を取りに部屋を離れるときには寂しそうに見送っていた。(ま、自分達にもお料理もらえるといいなという下心もあったかもしれないけど)
犬たちの反応を見てると、宿の人や宿自体が彼らにとって居心地いいかどうかが分かる。
予約から帰宅後までの包括的なエクスペリエンス
サービスのバランスがとてもいいと思った。バランスというか一貫性だな。
提示される情報やタイミングがすごくよく考えられている。
●行く前
予約を入れたら数日後に、宿や、宿周辺観光施設情報などのパンフレットが入ったお手紙が郵送されてきた。こういうの便利。
パンフレットの内容も、期待を高めるようなイメージ写真といったものだけでなく、宿に何が常備されているかといった適切な情報が適度な量で載っていた。
●チェックイン
犬を連れているとフロントでチェックインするのも大騒ぎだったりする。だから今回のように、とにかく到着したら番頭さんが荷物を部屋に運んでくれて、すぐに部屋に案内してくれるというのはありがたい。チェックインする前から「河内さまですね」と把握してるのもすごい。予約の時に犬種などを伝えてあったからだとは思うけど、成田からファーストクラス乗るとき以来の驚きw
結局、チェックインというのはなく、その代わりに「チェックアウトまでに記入してください」とアンケートのついた宿泊フォームがお部屋に置いてあった。
お抹茶とおまんじゅうのサービスも。
●滞在中
お部屋に到着すると犬達の名前の書かれたカードが置かれていた。箱根のハイアットリージェンシーと同じ感じ。
そして、記念日の宿泊とかでもなかったんだけど、仲居さんが挨拶に来る時に、ワンコさん達用にギフトを持ってきてくれた。RANDY、TAFFYにそれぞれ1セットずつ。
●チェックアウト
チェックアウトの時間ってフロント混むから嫌だなー(特に犬連れ同士客で混み合うと犬達が大合唱になる場合もあるし)とか思っていたんだけど、お部屋でのチェックアウトができたのでとっても快適だった。
チェックアウト後は、車まで荷物を運んでくれてお見送りもしてくれた。
●帰宅後
チェックアウトの翌日だったかな、「おかえりなさい」というはがきが届いていた。
担当者の名前とかが手書きであるほかはプリントされているだけのものだけど、チェックアウト後のケアがある旅館ってそんなに多くない気がするからちょっとサプライズだった。
プラス、「チェックアウトの時、旅館のカメラで撮った写真がブログにアップされているから見てね」という案内付き。帰った後もウェブサイトへの動線作ってるのがすごい。しかも、そのURLが「絆」のサイトではなく、「絆」を含む「しぶごえグループ」の総合トップページ。
しぶごえグループには「絆」以外にも南房総や伊豆長岡にも同じようにいくつかの宿があるようで、グループトップページは、それらのブランドサイトへのポータルになっている。
「へぇ、他にこんなに宿があるんだ」と知るきっかけになるし、「絆」で良い体験をした後だから、他の宿にも期待が持てて、また行ってみようかなって思える。
ブログの方はアメブロで運営されているんだけど、多分いわゆるペット好きな人のブログによくあるトーン(絵文字いっぱい、写真に落書き・犬の声を吹き出しに)で作られている。
で、肝心の(?)私達が写ってる写真のページには、担当してくれた仲居さんのコメントがついていて、ワンコさん達にまたあの仲居さんを会わせてあげたいな、って思わせる。
グループ力もあるんだろうけど、サービスフローと人材教育が多分すごくしっかりしてる。すごい!
日本の宿で、リピートしたいと思える宿って多くないけど、ここはぜひ定宿にしたい!問題は今見る限りでも、泊まってみたい離れのお部屋は数ヶ月先までずーーーーーーーっと満室ってコトだ。
ちなみに、夕食の時ワインもボトル1本あけたし、ビールやお酒なども注文したりしたけど、それでも宿泊料全部(犬達の宿泊費混み)で10万円にいかないというコスパのよさ!すごい!!
犬連れでも心地良く過ごせる宿としては、箱根ハイアットや軽井沢の星のやを抜いて、ここがダントツ一位だなー。
愛犬と楽しむ温泉旅館 絆(伊豆修善寺)
http://kizuna-shuzenji.com/
愛犬同伴専門宿/しぶごえグループ
http://www.shibugoe.com/
——追記(2012/5/23)—-
今日、また「絆」からポストカードが届いた。今度は、担当の仲居さんからと思われる手書きのもの。