IA / UX / HCD / UI

グローバルなブランド

Posted in Fashion, IA / UX / HCD / UI on 7月 28th, 2010 by chibirashka – 4 Comments

Dior_Paris

Parisに行って気づいた細かいことのいくつかの一つに、ブランドに関することがある。

ショーウィンドウのディスプレイとか、シーズンごとにテーマがあって変わっていくものだけど、お店ごとに違うわけじゃなくて、Diorだったら、モンテーニュ通りの店もサンジェルマンにある店も、ショーウィンドウの広さに関わらず、同じ世界観で、同じモチーフを使って展開してるわけね。こないだ表参道のDiorの前を通って、ショーウィンドウのディスプレイを見たときに初めて気づいた。

パリはパリ、東京は東京ってわけじゃなく、一緒なんだなぁ〜と。

「そりゃ、そうか」とも思ったけど、洗剤や飲料といった消費材だったら違うんではないだろうか。
※ちなみに、iPadの町中の広告とTVCMは全く同じだった。少なくとも絵は。CMはフランス語だからよく分からんけど、同じことをフランス語で言ってるんだろう。

それから、もう一つこれに近い話。
(これもParisに限らず都内でもよくある話なんだけど)

このモンテーニュ通りには、私の大好きなChloeもあるんだけど、Chloeで店員さんを捕まえて、あれやこれや、店頭に出てるものから奥にあるものまで、私のサイズを色々出してもらい、試着室の前で呆れ返る夫をなだめつつ、10着近い試着の末、トップス、ボトムス、ドレス、靴、バッグなどいくつか買っ(てもらっ)た。

基本的には私サイズなのだけど、ドレスの袖丈が若干長い。
Paris滞在も残りわずかで現地で直してる余裕もなくてどうしようかなーと思っていたら「TokyoのChloeに持っていったら直せる」と言われた。

そりゃ、そうだ、よくある話だもんね、とは思うものの、これまでの(数少ない)経験として、海外で買った洋服を日本の同じブランドのショップに持ち込むと、嫌な顔をされることが多いから嫌だな、と同時に思う。

直してもらえることはもらえるんだけど、店員さんの対応から「うちの店で買ったわけじゃないし」というのがありありと分かるし、ひどい時は、直接的にそう言われないまでも「正規品?」ぐらいのぞんざいな態度を取られることもある。現地のショップのレシートとかを持っていってもだ。

なーのーでー、そういうのが嫌だから、モンテーニュ通り店で、お店のお姉さんに、そういう懸念というか愚痴をつい言ってしまった。そしたら、お姉さん笑顔で、「大丈夫よ。知ってるでしょ、私たちはChloeよ。」と言う。

ファッションのトップブランドの一つなわけだから、それぐらいの自信があって当たり前だろ、とも思うけど、ちゃんと言い切れるプライドは素晴らしい。それが本当か証明してみたい気もしつつ、大好きなChloeにガッカリさせられたらやだなーという気もして、東京のChloeにはまだ行ってないけどねー。

最近めっきり、「めんどくさがりや」がヒートアップしていて、値段で比較するとか、イチイチ性能を比較するとかを怠っていて、結果、ブランドに頼りっきりになってる気がする。ブランドといっても、ヴィトンだ、PRADAだ、とかそういうのだけじゃなくて、歯磨き粉だったらGUMだな、とか防虫剤だったら「ムシューダ」だなとか。考えなくていいから時間節約になるわけ。(私など、時間を惜しむほど忙しいわけでもないんだが)

これが洋服とか化粧品とかってものになると、世界どこに行っても(都市部だったら)絶対にお店があるブランドのもの、というのが、我が家の暗黙の了解になりつつあるような。。。ある意味、マクドナルドと同じ安心感っていうのかしら。

だから、お店が同じようにあるだけじゃダメで、言葉や文化が違うとしても、そこで受けられる体験や感じる印象が同じであって欲しいと期待してしまう。

ところで、冒頭の写真は、何を言いたいかというと、写真中央奥に見えてるのが、モンテーニュのDiorなの!!(見えないって、、、)ちなみに、モンテーニュのDiorは、多分、SEX AND THE CITYのTVドラマ版の最後の方で、キャリーが雨の日にヒールが滑ってスッ転んでしまった、あのDiorのはず。(キャリーの宿泊先はプラザ・アテネのはずだから、絶対ここのDiorのはず)

あ、ついでに言うと、ブランド体験云々とかではないけど、グローバル展開してるプロダクトだと、ぱっと見で外国人でも認識できるし、そんなことが共通トピックになっていきなり話に花が咲いたりする。
それがこちらの写真。
Niceの市場でiPhone4に盛上がる
ニース滞在中朝市に出かけ、iPhone4で写真を撮っていたら、ハーブ屋さんのお兄ちゃんに「もしかして、それiPhone4?マジ??触らせてー。Cool!ニースだと2ヶ月待っても手に入らなそうだよー。(続く)」と声をかけられるという、微笑ましい瞬間があったりもした。

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IA(情報アーキテクチャ)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の認知度

Posted in IA / UX / HCD / UI on 4月 20th, 2010 by chibirashka – Be the first to comment

先日、コンセントのサイトで、IAとUXの認知度調査の結果を公開しました。

調査自体を実施したのは2009年の夏で、ちょっと時間が経ってしまっているのですが…(すみません。。『IA100』とかにうつつを抜かしてました。それにしても遅すぎなんだけど…)

単なるWeb閲覧とかではなく「業務でWebに関与している人」をスクリーニングして実施しました。「Webに関わっている人」というセグメントは相当ニッチらしく、利用したネットリサーチ会社でも属性として持っていなかったので、どんな設問で聞いたら抽出できるのか、けっこう悩みました。

調査自体は、めちゃ面白い結果というのは得られませんでしたが(だいたい想定範囲というか…)、主な結果として

  • Web業務に携わる人でも「IA」や「UX」について知らない人が約7割
  • 「IA」「UX」の認知時期はここ1年が圧倒的

というものが出ました。

>>コンセント:情報アーキテクチャ(IA)/ユーザーエクスペリエンス(UX)の認知度調査

また、2月に「IA2010」というイベントがあり、長谷川さんが基調講演を行い、終了後には、参加者の方にコンセントが独自でアンケートをとらせてもらいました。さすがにイベントタイトルに「IA」を冠しているだけあって、参加者は基本的には何らかの形で「IA」を知っていたと考えられますが、イベント前の段階で「IA」と聞いてイメージしていたものとして、「サイトマップ」「ワイヤーフレーム」といった、実態として見えるものを挙げる人が多くいました。

ちなみに、今回公開していない資料の中に、『IA100』を読んでいた人とそうでない人の、IAに対するイメージの違いについて調べたものがあるのですが、『IA100』を読んでいた人の方が、そうでない人よりも、「サイトマップ」「ワイヤーフレーム」という回答が少なく、「Webガバナンス」「ブランド戦略」を挙げる人が多くいました。

>>コンセント:「IA2010」出席者アンケート(抜粋)

どちらの調査も母集団が多くないので、絶対的な指標とは言えませんが、傾向把握できるのではないでしょうか。

ちなみに、今朝、福岡にいる稲本さん(evenina)が、福岡でのHTML5勉強会の様子をメールしてくれました。彼はそこでIAについてプレゼンテーションを行ったそうです。20名ぐらいの参加者中「IAなんて初めて聞いた」という方が半数、「IAはなんとなく聞いたことがある」という人も含めると、7割程度の方は、まだそれほど意識していないようだった、と教えてくれました。

>>稲本さんのブログ:[HTML5]勉強会にいってきた4 〜IAについて話した〜

多分、言葉として知らなくても、デザイナーやディレクターは無意識のうちにできているのでしょうし、言葉の認知が重要というわけではありません。

でも、そういう言葉で定義されてるものなんだ、ってことが分かると、すでに世の中(海外とかも)で実践され蓄積されているノウハウやツールを、簡単に取り出すことができ、利用することができるので、便利なのではないかなと思います。

どうやったらIAの認知をスムーズに進めるかっていうのが課題なんだけど、なんとなく最近思っていることは、外の世界からIAを語らないとダメなんだろうなーということ。あんまりアイディアがまとまっていないので、細かく書けないけど…。

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IA Stencil(Site-it!)

Posted in IA / UX / HCD / UI on 4月 10th, 2010 by chibirashka – Be the first to comment

情報アーキテクチャ関連のイベントやセミナーに持って行くと、みなさんに興味を持ってもらい、「欲しい!欲しい!」コールが巻き起こる(言い過ぎ?)Site-it! ことIA Stencil

IA Stencil

これまでは、OmniGraffle用ステンシルのみ、コンセントのサイトで提供していましたが、OmniGraffleを使っていない人も多いので、先日から汎用的な各種フォーマットで提供しはじめましたよ。入手できるフォーマットは次の通りです。

  • OmniGraffle用ステンシル
  • Illustratorファイル(.aiフォーマット、1種類1ファイルの7ファイルセット)
  • PDFファイル(1種類1ファイルの7ファイルセット)
  • EXCELファイル

設計ドキュメントに使うも良し、印刷して使うも良し、みなさまの情報アーキテクチャライフを快適に♪(違)

ファイルのダウンロードは、コンセントLABSからどうぞ〜。

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Site-it! のステンシル

Posted in IA / UX / HCD / UI on 12月 4th, 2009 by chibirashka – 3 Comments

株式会社コンセントが開発した、サイトストラクチャ検討ツールSite-it!

IAについてよく分かる書籍『IA100』をコンセントのサイトで購入すると、Site-it! がもらえるキャンペーンをやっているのですが、Site-it! が非売品なだけに、ご好評です。

Site-it! は、Webページの7種のパターンがあらかじめプリントされた付箋紙で、ワークショップ型でサイトストラクチャの検討を行うときに使うことができるのですが、「このページって、こうだよね」っていう共通理解を得るために使います。

しかし、ワークショップのような場面だけでなく、サイトマップを書いたりするときにも、こうした共通理解があった方がいいわけです。もちろん、サイトの全体感をざっくり捉えることが目的のサイトマップであれば、メニュー名やページ名が入っていれば十分かもしれません。でも、もう少し踏み込んだ目的のものであれば、「あれ、このページって、リスト型の一覧ページだと思ってたー」「いやいや、画像入りの詳細ページだよ。だから、画像素材と原稿を用意しておかないとね」というところまで把握できた方が便利です。

そんな時に使えるのが、今回コンセントラボで公開を開始したSite-it! のOmniGraffle用ステンシル

OmniGraffleでSite-it! ステンシルを使って、簡易サイトマップを書いてみたとこです

OmniGraffleでSite-it! ステンシルを使って、簡易サイトマップを書いてみたとこです

このステンシルは、クリエイティブコモンズライセンス「表示-非営利-改変禁止 2.1 日本」(※)の条件のもと公開してますので、ぜひ、みなさん使ってみてください。

Site-it! についての詳しい解説は、『IA100』の69番目のトピックを読んでみましょう。

※Site-it! はコンセントの登録商標です。

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KAYAC訪問

Posted in IA / UX / HCD / UI, カフェ・レストラン, カンファレンス・勉強会・仕事 on 11月 12th, 2009 by chibirashka – Be the first to comment

9日の月曜日、鎌倉にある面白法人KAYACに行ってきました。ボスときみちゃんと私の3人で。

ことの発端は8月にさかのぼる。

8月7日に開催したHCD-Netサロンでお会いしたKAYACの方が、KAYAC社内で『デザイニング・ウェブナビゲーション』の勉強会をやっていると教えてくれた。せっかくなので、監訳者であるボスがその勉強会に参加しましょうという話になり、調整を試みていたもののなかなかスケジュールがあわなくて、実現できず…。そうこうしているうちに、ボス自身の著書『IA100』も刊行になったので、再度スケジュール調整をして、なんとか開催できることに。

鎌倉までは車で行ったんだけど、けっこう遠くて、ちょっとした旅行気分。

勉強会の前に、社内ツアーをしてもらって、「お〜、TVで見たあのオフィスだ〜」と写真をパシャパシャ。

座敷的な不思議なオフィス

座敷的な不思議なオフィス

勉強会に参加してくれたのは10名弱ぐらいかな。飲み物やお菓子も用意していただいて、とてもカジュアルな雰囲気。もはや『デザイニング・ウェブナビゲーション』でも『IA100』でもなく、情報アーキテクチャの全体像というような講演チックな感じだったんだけど、けっこうあっという間に2時間が経過。

勉強会の様子

勉強会の様子

勉強会の後は、bowlsでの懇親会。bowlsもずっと行ってみたかったので、嬉しい。ワンコさんもOKと分かったので、今度プライベートで鎌倉行くときは犬達と寄ってみよう。シラスのどんぶり、美味しかった!

シラスどんぶり…と思う。この写真じゃ見えない!?

シラスどんぶり…と思う。この写真じゃ見えない!?

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IA100:ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計

Posted in Book, IA / UX / HCD / UI on 10月 11th, 2009 by chibirashka – 8 Comments

IA100

ついに!ついに!ついに、出ますよ!『IA100

Myボス長谷川さんが、睡眠を削りながら、執筆した一冊が。

自身のこれまでの知識、経験を惜しげもなく詰め込んでます。

情報アーキテクチャは、Webに関わる人であれば身につけておかなければいけないスキルの一つ。それを「情報アーキテクチャ」「IA」として認知しているかどうかは別として、むしろ実践していなければ、特に大規模サイトなんかは作るのが困難と思われます。

でも、抽象度の高いエリアでもあるので、勉強するにもとっかかりを掴みにくい分野とも言えるかもしれません。私も、IAについて知りたいと思って、どうやったら学べるんだろうと思って、過去に大学院を探したぐらい。結果的にコンセントに入って今に至るので、大学院には行かなかったけど。

他のスキルもそうだと思うけど、実践だったり、周りで実践している人のやり方を見て学ぶとか、そういうのが結局は学ぶための近道な気がする。とはいえ、やはり前提としてある一定の知識は必要だし、そうした知識はできるだけ体系だてて学ぶのが理想的だと思う。

IA100:ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』は、これだけは知っておきたい100個の項目を、見開きで1トピックずつ丁寧に解説してます。本の作りとしては、「Design rule index—デザイン、新・100の法則」みたいな感じです。

「で、結局、IAの検討をドキュメントに落とすときは、どんな体裁になるのよ?」みたいな疑問だけが残ってしまわないように、実際のドキュメントサンプルなんかも図版としてふんだんに掲載してます。

書店に並ぶのは10月末ですが、予約受付が始まっています。

刊行キャンペーンとして、コンセントのサイトで『IA100』を予約/購入すると、コンセントが開発したSite-it! (IAプロトタイピングツール)がもれなく貰えますので、ぜひぜひお見逃しなく〜。(キャンペーンは12月20日までの期間限定です)

■書名:IA100:ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計
■著者:長谷川敦士株式会社コンセント
■出版社:株式会社ビー・エヌ・エヌ新社
■版型:A4変形 224ページ
■定価:3,360円(税込み)
■刊行:2009年10月27日

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企業のブランド戦略を促進するWebサイト設計の要点

Posted in IA / UX / HCD / UI on 9月 17th, 2009 by chibirashka – Be the first to comment

Myボス長谷川さんがWeb担当者Forumに執筆している連載記事「IA視点のWebプロジェクト」の最新記事がアップされています。

第5回:「企業のブランド戦略を促進するWebサイト設計の要点」

先日のCSS Nite, LP7(IAスペシャル)のおさらいであると同時に、あの時、関心が高かったEIAとブランド戦略(カネボウ化粧品さんの事例で紹介)のことについて、より詳しく説明している記事です。

ボスと一緒に、3月のIA Summitでポスター発表してきた「EIA as Brand Strategy」を解説している感じかな。

コーポレートサイトのみならず、製品サイトやらマーケサイトやらブランドサイトやら、企業が複数のサイトを持つケースは少なくないわけですが、各サービスや製品のブランドをどのように展開するか、ということについては、ブランドポートフォリオ戦略が重要です。ブランドポートフォリオ戦略については、David. A. AakerのBrand Portfolio Strategy: Creating Relevance, Differentiation, Energy, Leverage, and Clarityに詳しいです。

顧客は、製品/サービス自体、カスタマーサポートの対応など通じてブランドを認知し、印象を受け取ります。Webサイトもブランドを伝えるものの1つです。ブランドポートフォリオ戦略が練られていても、それが顧客に正しく伝わらなければ、効果は発揮できません。そのため、Webサイトはブランド構造を反映したものになっているべきです。特に、サイトトップページやメインメニューには注意を払う必要があります。なぜならサイト利用者は、トップページやメインメニューから、サイトの主題やブランドを認識し、またそのサイトが自分向けであるかどうかを感じるからです。どんなユーザー体験をさせるか、ということは、ブランド体験にも影響します。(って、つい真面目モードで書いちゃったよ・・・)

でもそれ以前に、サイトの読み込みが遅いとか、やたらとプロモーションがうざいとか、構造以外のところで、イヤな経験をしてしまって、ブランドのイメージが悪くなる、とかはありえる。まさに、こないだShangri-La hotel Tokyoの宿泊とスパの予約をした時がそう!

と、話がそれたけど、そんなような話が書いてあるので、ぜひWeb担の記事読んでね!というお知らせ。

Brand Portfolio Strategyの日本語版は、これっぽい。

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CSS Nite LP, Disk 7「IAスペシャル」

Posted in IA / UX / HCD / UI, カンファレンス・勉強会・仕事 on 9月 14th, 2009 by chibirashka – 5 Comments

9月12日、CSS Nite LP7に行ってきました。

場所はベルサール神田。半蔵門線の大手町駅でベルサールに一番近いC1出口に向かう途中、なんとなく懐かしい感じに襲われながら、階段を上っていたら、KDDビルにつながってる出口だった。あー、なるほど〜。そりゃ、懐かしいわけだよ。

でも、だからといって決して大手町の地理に明るいわけではないので、迷わずタクシーでピューッとベルサールへ。(厳密には隣のデニーズで腹ごしらえ)

関係者としての出席だったので、チラシ折り込み(?)等準備で、受付開始の1時間ぐらい前からいたんだけど、着いてまず会場の広さに圧倒された。

そして、その広い会場もどんどん埋まって、満員御礼な感じは圧巻!

CSS Nite, LP7の会場

撮影:飯田昌之氏

しかし何よりも衝撃だったのは、生きてる間に二度とこの人には会わんだろうな、と思っていた人に遭遇し、さらに名刺交換する事態になったこと。Wow!

そういうわけで、心臓がバクバクなった結果、セッション自体は7-8割しか耳に入ってこなかったような気がしなくもない(おいっ)。

各セッションをかいつまんで、とりあえず記録。

[1]
情報アーキテクチャの全体像
〜ワークフローとケーススタディ〜

株式会社コンセント 長谷川敦士 Ph. D.

IAに登場する要素の全部入り的な、全体像を伝えるセッションでした。

  • IAは分かりやすさのデザインだよ
  • IA設計っていうのはみんなでやることなんだよ

実はコンセント社内でやっている「IA塾」という勉強会で、このセッションのリハーサル的なものをやり、社内のスタッフの反応をみつつ、構成を手直ししたり、時間調整を行ったり、けっこう気合いを入れてプレゼンの準備をしたのですよ。(私じゃなく、ボスがね)。

ちなみに、このセッションの中でボスが紹介していた、ドキュメント類などでコンセントのサイトからダウンロードできるようなものについては、このブログ記事の下の方に書いてますので、興味ある人はそこからどうぞ。

[2]
プロジェクトマネジメントから見たIAの大切さ
株式会社ロフトワーク 林千晶さん

IAの専門家ではない人が、中〜大規模なサイトを作るときのTIPSを紹介するセッションでした。

  • プロジェクトマネジメント計画書を作りましょう
  • 品質計画のための手法「ベンチマーク」というのは、暗黙の前提である。ベストプラクティスを使おう

プロジェクトマネジメント計画書は、コンセントで言うとこのクリエイティブブリーフみたいなもんですね。

CCBS(CMS Corporatesite Base Structure)の紹介の時に「これを作ったのは、前から4列に座っている彼女が作ったもので、今はコンセントにいるんだけど」と紹介され、鳩が豆鉄砲を食ったようになってしまった・・。確かに作った、、懐かしい・・。今の知識とかがあればもっとこうできたな、とか色々あるけど、きっとその後ブラッシュアップされていることでしょう。

あと、千晶さんは、草間彌生さんが大好きだし、そしてプレゼンの時は勝負靴を履く、とっても女性らしいキュートな方なので、草間彌生×LANCOMEのポーチをプレゼントしました。喜んでくれて良かった♪

[3]
IAの欠点〜IAの本来の目的と役目
ソニー株式会社 佐藤 伸哉さん

制作サイド、クライアントサイドの双方が「なぜIAを行うのか」を理解するためのセッション。

  • IAは全体プロセスの1ステップでしかないことや、IAだけでは完結しない(前後の工程が必ずある)ことがIAの欠点。
  • 前後に何があって、どういうことと関係するから、そのIA作業が必要なのかを考える必要がある。(各成果物を作る理由は?)
  • 不必要な作業はやらない。
  • 良いサイトを作るためにIA作業がある。

あえて反論的なタイトルで話を進められていたのが、さとさんらしい。とても理解しやすかった。

[4]
IAワークショップ〜LPOをテーマに〜
ネットイヤーグループ株式会社 坂本 貴史さん

特定のページへの誘導を目指すリニューアル、を題材として、ワークショップで実践力を養うセッション。

同業他社のサイトをベンチマークしてみる。他社と異なるコンテンツ(独自コンテンツ)が、その企業のアイデンティティを訴求する

・最適なメインメニューを書くには、

  1. 情報の共通項を見つける
  2. 他社との共通項を見つける
  3. 重視する方向性を決める

・ナビゲーションを考えるには

  1. 文脈を正確に
  2. 利用目的で方向性が決まる
  3. 行き止まりを作らない

・導線を考えるには

  1. 始点はホームだけじゃない
  2. 目的達成のための導線は個別最適

・IAは目的を実現するためのアプローチだよ

坂本さんは「導線」という言葉を使うのですね。コンセントだと「動線」です。

このセッションは宿題が出ていたんだけど、ちゃんとこなすまでは至らず。。構造がどうなってるか考えるために、ストラクチャを途中まで書いたところで、私は力尽きてしまった。。

ユーザーニーズによりサイト要件を整理する(WorkSheet IV)というワークがあり、ずーっと前に参加したWebSig(IA分科会)でもこんなアプローチのワークがあったんだけど、ユーザーニーズやシチュエーションを考えるときのフレームワークとしてはAIDMAはどうしても使いにくい、と思ってしまう。。InterestとDesireの差が曖昧というか。

それにしても、坂本さん、ほんとよく、いい題材サイト見つけてきますね。どうやって探してるんだろ。

[5]
実装視点からのボトムアップIA
Information Architecs, Inc. 小久保 浩大郎さん

前提:ページ<フロントエンド(ページはフロントエンドに含まれる)

  • IAはデザインタスクのどのレイヤーにも必要な「情報の抽象化」スキルを取り出したもの
  • インターフェースからインタラクションが発生
  • インタラクションの結果としてUX
  • インターフェース=ブランド
  • 今からでも遅くない。HTMLの文書モデルを学ぼう。
  • 見出しには、コンテンツのグルーピングのための見出しと、コンテンツの理解を促進するための句読点的な見出しがある。

う〜ん、分かったような、分からないような。

なんかもっと、具体的にコードを見せて説明するようなセッションかなーと想像してたので、ちょっと違った。

[6]
IAからWebサイトデザインへの突破口
長谷川 恭久さん

THEヤスヒサさん、なプレゼン。

  • サイトやページを探してるんじゃない。情報を探してるんだ。
  • 「共有」というのが必須コンセプトである。
  • 体験の具現化(利用シチュエーションをUIに生かす)
  • パターン(すでに共有されている知識の再利用)
  • オープンスタンダード(人が使ってるものを使うと、障壁を取り除くことに寄与)

[7]
パネルディスカッション
ALL

まったくもって、パネルで行われたQAの中身や本質とは違うんだけど、ヤスヒサさんが言った「IAの人は言葉にセンシティブ」っていうのが「AGREEEEEEEEEEEE!」って思った。

【イベント全般】

これだけの規模のイベントをオーガナイズするのは本当に大変です。出席者の期待感やIAの理解度も全然違う状況で、セッションの企画をしなければいけないし。それ以外の細かな点についても、色々フォローしていただいて、鷹野さんには本当に感謝しています。ありがとうございました。

そして、矢野りんさんや「カニの貴公子」益子さんも、当日のMCやセッティングだけでなく、企画段階からたくさんアドバイスとかくださっていて、スピーカー以外の多くの人の支援があってこそだなーと、改めて思いました。

【補足情報】

では最後に、私がCSS Nite中に、せっせとTwitter(@chibirashka)につぶやいてた、主に長谷川セッションの補足情報を。

visual vocabularyの翻訳版はこちら http://bit.ly/N3o0X

そうです!広報会議にも掲載されました。 http://bit.ly/EVkq9 #cssnitelp7 RT @skytaxi: 広報会議にも出てた図かも #cssnitelp7

コンセントがトータルプロデュースしているカネボウ化粧品さんのサイト http://bit.ly/e1lKR

「IA100」を予約申込していただくと、なーんと、非売品のSite-it! がもらえます。配付資料をみてくださいねー。

IA Institute http://iainstitute.org/en/

EIA as Brand Strategyはこちらでダウンロードできます。日本語版もあります。 http://bit.ly/1w2IkS

メニューラベルの検討については、HCD-Netのサイトを題材に具体的な例を、Web Designing8月号の「my first IA」という連載記事の中で書いてます。長谷川が。

7つのナビゲーションの説明に使われているHCD-Netのサイトは、アックゼロヨン・アワード入賞しました。 http://bit.ly/NckF3

7つのナビゲーションの資料はこちらです。英語版ですけど。 http://bit.ly/3yBdkc

Site-it! についてはこちら http://bit.ly/5H8FK

詳細まではお見せできませんが、コンセントの、シナリオ/ペルソナを用いたプロジェクトポートフォリオです。 http://bit.ly/2wKl9n

コンセントで翻訳したクリエイティブブリーフはこちらでダウンロードできます。 http://bit.ly/Zrkw0

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『デザイニング・ウェブナビゲーション』読書会

Posted in Book, IA / UX / HCD / UI, カンファレンス・勉強会・仕事 on 8月 10th, 2009 by chibirashka – 5 Comments

8日の土曜日、linkerさん主催の『デザイニング・ウェブナビゲーション』読書会(第2回)に参加しました。会場はコンセントのサロン。

DWN reading club

『デザイニング・ウェブナビゲーション ー最適なユーザーエクスペリエンスの設計ー』は、Myボス長谷川さんが、浅野紀予さんと共に監訳した本で、3月に行ったIA Summitでは、原著者のJames Kalbach氏にもお会いしているので、とてもなじみ深い本。

読書会は、各参加者が1章ずつ担当し、内容をまとめて、参加者全員でそれを共有し理解を深めるというもの。全部を自分で読むと大変だから、分担して読むことで負担を減らしつつ、学ぶべきエッセンスは学べちゃう、みたいな良さがある。特に翻訳されていない原著の場合は。

ただし、日本語版の場合は、自分で読んでも、べらぼうに時間がかかるってものでもないので、負担が減るということよりも、読んでいて疑問に思うこととか、他の人はどう感じ、普段の業務ではどうしてるんだろうか、というようなことをディスカッションできる、というメリットの方が大きい。

1人でただ本を読むだけだと、読みながら疑問に思ったところがあるとしても、読んでいる間にそのことを忘れてしまって、そのままになりがちだけど、自分の担当分があると、人に説明するためによく読むし、深く考えることになるので、何がどう分からないかということも明確になるのではないかしら。

今回の読書会で、私は第8章の「アーキテクチャ」という部分を担当した。

8章の概要:
説得力のあるアーキテクチャのためには、ナビゲーションコンセプトに基づいた「サイト構造」と「ナビゲーションの組織」が大事である。

  • ナビゲーションをデザインする際には、マクロレベルとミクロレベルのアクションを念頭に置くこと
  • ナビゲーションコンセプトとは何か、またどのように作成するか
  • 情報構造にはパターンがあり、最適な型を選択し組み合わせよ
  • 各構造パターンについて(直線型、ハブ&スポーク型、ウェブ型、階層型、ファセット型、発生型)
  • 組織化とはなにか、またどのように組織化を行うか
  • 構造、組織化を検討したら、体系的かつ視覚的に示すためにサイトマップを作成せよ
  • サイトマップのレベルと構成要素、作成方法

このうち、ナビゲーションコンセプトのところで、「ジャンル」と「メタファー」という2つの方法が提示されていて、もちろん言葉自体は分かるのだけど、その説明がイマイチ腑に落ちないでいたところ、長谷川さんと浅野さんが「ジャンルとメタファーは対立するものではなく、両立するものである」ということや、「原著でも”ジャンル”は”genre”」となっていたが、言い換えればステレオタイプや定型、といったもの」と説明してくれた。

また、本の中では「ジャンル」の例として、新聞が挙げられていたけど、新聞の場合は、ヘッドラインや一面記事、見出し、といった定型(ジャンル)として捉えることもできるし、めくれる、あるいは面で全部を一覧できるというメタファーとして捉えることもできる、と補足してくれたので、すっきりした。

他にも、情報構造のパターンのところで、「ウェブ型」と「発生型」というのがあり、「ウェブ型」の例として、私はこれまでwikiっぽいものを想像していたので、「発生型構造の典型がwikiです」という文章を見て、じゃー、「ウェブ型と発生型の違いは一体何で、どうしてわざわざパターンを分けてるんじゃー!」と本を読んでる時に思っていた。

これについても、「ウェブ型」ではリンクが増えていくイメージ、「発生型(原著ではemergent structure)」ではコンテンツが増えていくイメージ、と補足してもらった。超ざっくり言えば、発生型の方は、SNSとかCGM的な活動というニュアンスっぽい。

でも、だとしたら、「発生型」が構造のパターンの1つとして扱われること自体がちょっと気持ち悪いな、と思っていたところ、この著者はいたって論理的に書いているように見えて、実はファジーな面もあり、この本の特徴(?)として、カテゴリがけっこう曖昧だったり重複しているところも多い印象があるよね、という話も出ていた。

というあたりも含め、監訳者の2人から直接説明をもらえるという何とも贅沢な読書会だったなぁ、と。

読書会って実は初めて参加したのだけど、自分の理解が深まるという点で満足度高かったし、また、他の参加者の発表を聞いて「あ〜、こういうところ気になるんだな。。確かに・・」というのも分かって、興味深かったです。

全体のオーガナイズをしてくださったcremaさん、ありがとうございました。

私の担当分の資料:

この本は、理論から実践まで網羅されていて、一時的なハウツーものではないので、Webの設計をやる人から、実際にビジュアルデザインを担当する人など、どの立場の人にも役立つ本だと思います。

そういえば、金曜日のHCD-Netサロンでお会いした面白法人カヤックの方も、カヤック社内でこの「デザイニング・ウェブナビゲーション」を使って勉強会をしていると言ってました。

まだ読んでいない方はぜひ!

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HCD-Netサロンを終えて

Posted in IA / UX / HCD / UI, カンファレンス・勉強会・仕事 on 8月 8th, 2009 by chibirashka – 1 Comment

8月7日、HCD-Net主催の第2回HCD-Netサロン「Webデザインと人間中心設計 -もの作りとしてのWebデザイン」に行ってきました。

行ってきましたというか、どちらかといえば運営側だったので、「なんとか無事に終わりました」というか。。

イベント告知を開始した頃は集客がとても心配だったんだけど、思いのほか盛況で、あっという間に定員60名を超え、キャンセル待ちが30名近く出てしまうことに。そんな事態だったので、会場として場所を貸してくださったアーキテクトカフェさんにお願いして、急遽、席数を大幅に追加してもらい、キャンセル分を若干吸収したけれど、参加できなかった方は本当にごめんなさい。また、参加してくださった方々も、窮屈だったかもしれません。

定刻の直前になって豪雨に見舞われたので、ドタキャンが多くなるかも、とすごく心配だったけど、結果的には満席。会場まで来るのが大変だったと思うと、来てくださった方みなさまに感謝です!

オーディエンス

前の席も柱の奥も満席

奥の方までたくさん

入り口付近までたくさん

パネリストは、AXISの宮崎さん、千葉工大の山崎先生イメージソースの小泉さん、そしてコンセント長谷川さんという、普段ではなかなか揃うことのないような顔ぶれで、立ち位置も全然違うので面白かったと思うんだけど、けっこうパネリストの皆さんのポートフォリオというか、自己紹介、会社紹介、プロジェクト紹介というところが厚めだったので、ディスカッション自体が短めになってしまったのが、少し物足りなかったかも。

パネリストのみなさん。左から宮崎さん、長谷川さん、小泉さん、山崎さん

左から宮崎さん、長谷川さん、小泉さん、山崎さん

で、どんな内容だったか、というのを書きたいところだけど、裏方でバタバタしていたら、私は全くもって聞けなかったので、参加者の方のレポートがどこかにあがるのを楽しみに待つことにします。

あ、でも唯一聞き逃さなかったことで、私としてでかい収穫だったのが、AXISの宮崎さんが、犬グッズを扱っているドッグカフェをやっているということ。しかもそのお店って、私も旦那さんも好きで何度か行ったことがあり、我が家のミニチュアダックス、RANDYさんとTAFFYさんの日常使いのカラーとリードもそこのものなので、俄然親しみが湧いちゃったw それにしても、ジャックラッセル5匹も飼ってるなんてすごい!

パネリストはほぼ独断と偏見で好きな人に声かけさせてもらいました、という感じだったんだけど、皆さん、本当に活動の幅が広く、精力的に取り組んでいらっしゃるので、事例とかもすごく魅力的だし、いい刺激を受けますね。本当にありがとうございました。

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(追記:2009/8/12)
yoshjさんがブログ「あなろぐICT宣言」でHCD-Netサロン参加レポートを書いてくださっています。

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