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私のIA/UX観

Posted in IA / UX / HCD / UI on 8月 29th, 2010 by chibirashka – 1 Comment

先日の「富裕層向けユーザーエクスペリエンス」に引き続き、大それたタイトルで書いてみる。

しかし思考がまとまっているわけでもなく、超個人的な備忘録って感じだけど。

私がIAやUXに興味を持った経緯は、2002-2006年頃までのディレクター時代の経験によるところが大きいわけだけど、その当時から現在のようにIAやUXということについて学んだり考えたりする機会に恵まれる今に至るまで、私の中で揺らぎなく思っていることがある。

それは、

「素晴らしいと納得できるIAやUXは、究極的には、自分でサービスを立ち上げることでしか実現できないのではないか」

ということ。

反対意見の方が多いんだろうなと思うけど、何年考えてみてもやっぱりそこの意見が変わることはない(少なくとも今のところ)。というか、正しいとか間違っている、とかではなく、私はIAやUXをそこまで拡大解釈して捉えていると思う。

IAというか特にUXについてかも。

IA設計やUX設計の時、ユーザーとコンテンツをどうつないであげるか、どんな体験をさせてあげたいか、そういうことを検討するけれど、もっと根本的なところで「継続性」というキーワードがあるのではないかと思って。

「見れていたものが見れなくなってしまう」とか「使えていたものが使えなくなってしまう」とか、それって著しくネガティブな印象を与えてしまうと思うから。

使い勝手だとか、「この世界観素敵だわ〜」というような印象とか、そういう一時的なことではなく、継続的にサービスが提供され続ける、ということが一番プリミティブなUXなのではないかと思う。企業で言うところのゴーイングコンサーンみたいなものか?

電化製品とかのプロダクトの場合、「そもそも壊れない」品質で世に出されるはずだし、ラインオフしたらほとんどのものは、アフターサービスを除いてはメーカーの手を離れてしまうと思うけど、仮に少々使い勝手が悪かったとしても、物理的に存在している以上、朝起きてみたらあったはずの電子レンジがなくなっていたなんてことは基本的にありえない(盗まれたとか、テレポートできちゃった、とかじゃない限り)。少なくとも、プロダクトが「こちら側」にあるので、ある日突然そのプロダクトが消失してしまうとしても、それはユーザー側の責任で済ませられる。「レンジがなくなったのは製造元のA社が悪いのだ。A社なんて大っきらいだ!」とはならないはず。

でも、Webサービスとか何か「仕組み」を提供している場合は、使っているのはユーザーで、操作しているのは「こちら側」だけど、操作している対象は「あちら側」にある。バグのない品質担保された状態でリリースされても「こちら側」に所有できるわけではない。ある日突然(事前告知されるとしてもだ)そのサービスや「仕組み」が消失してしまうとしたら、それは「あちら側」の都合であって、ユーザーの責任ではないので「こんなサービス大っきらい!」となってしまうんじゃないだろうか。何か記録を残したりするアーカイブ性の高いものだと特に。

となると、そもそも、サービスや「仕組み」が消失してしまわないような事業モデルが作れることや、維持・拡大していくための営業力、将来を予測しながら攻めていくための財務戦略、チームビルディングのための組織マネジメントが大事かつ、そこに責任を持つところまで必要なんじゃないかと思うわけ。(すごい飛躍した結論に聞こえるかもしれないけど)

仮説を立てたりコンサルするだけじゃダメで、営業に行き、売上を自ら立て、チームの士気を上げ、ファイナンスもやる、そこまで全部。

「こんなユーザーが、こんな状況で、こんな機能を、こんな体験と共に、こんなフローで使える」といったシナリオや、それに基づいた実装は、ほんとに表面的な皮膚みたいなもんで、そもそも体全体を維持することの方が大事なんじゃないのかなーと。

ま、表面的な皮膚のところをどうするかさえ難しいんだから果てしない話だけど。

富裕層向けユーザーエクスペリエンス

Posted in IA / UX / HCD / UI on 8月 18th, 2010 by chibirashka – 2 Comments

最近の私の関心事の一つとして「富裕層向けユーザーエクスペリエンス」というのがある。
仰々しく書いてしまったけど、富裕層向けのサービスはどのように設計されるのか、誰が設計できるのか、なにをもって良い体験といえるのか、というようなこと。

なぜ最近そのことが気になるかというと、自分の身の回りのサービスがいわゆる「富裕層向け」「エグゼクティブ向け」っぽいものが多いことに気づいたから。だからといって、「チビラーシカ=富裕層」とか「チビラーシカ=セレブ」とは限らないところが味噌なんだけど(謎)

そもそも世の中一般的に富裕層っていうのは誰なのか?Wikipediaによると、

富裕層(ふゆうそう)とは、セグメンテーションのひとつであり、一定以上の経済力や購買力を有する世帯を指し示す。
世帯年収2,000万円から3,000万円以上、金融資産1億円以上などとして定義されることが多い
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4

だそうだ。

ボストンコンサルティンググループの「Global Wealth Report」では「金融資産100万ドル以上を保有する富裕層は…」と書かれているので、日本だけでなく海外でも、富裕層の定義はやはり金融資産でざっくり1億円と考えて良さそう。

私は我が家の世帯年収や金融資産がどれぐらいあるのか、全く知らないので(夫任せなダメ妻ゆえ)、我が家がこれに当てはまるのかは知らないけど、わりと好き勝手にやらせてもらっているところを見ると、年収1,000万ではないんだろうな、という感覚は持っている。

(あちこちから石が飛んできそうではあるけど、無謀を承知で言えば)実際、年収1,000万程度じゃたいしたことできないよな〜、となんとなく思うし。

でも、なんとなく日本だと、年収1,000万っていうのが一つのラインとしてあるような気がするし、下手すると、その年収程度の人を想定した「富裕層」サービスというものがありそうな気がするな。

一応の定義はあっても「富裕層」っていうのが曖昧で、セレブに憧れて、それっぽい雰囲気を醸しだしている人たちをも、便宜上なのか揶揄的になのか「セレブ」と呼んでしまう、そういうのに似ていると思う。

対象の定義が曖昧ゆえ、そこに提供するものがどうあるべきか、ということを考えるのも無謀なんだけど、とりあえず私の身の回りにあるも「多分、これって一応富裕層(的な人)向けなんだろうな」と思うメンバーシップを挙げると

  • 六本木ヒルズコミュニティパスポートPREMIUM PASSPORT
  • CLUB ON PLATINUM(西武)
  • The Leaders Club(ラグジュアリーホテルのメンバーシップ?)
  • CLASS ONE(HISエグゼクティブセクション)

とかとか。

挙げてはみたけど、まぁ、見て分かる通り、基本的にはどれもこれも庶民的なものばかり。
こんなメンバーシップカードを気にしていることそのものが富裕層ではない、と私は思う。
上記の中で最も腑に落ちないのが、CLASS ONE。ほんとの富裕層なんてHISではチケットを買わないのだよ、と思う。

私自身は貧乏性だし、一般市民なので、つい「わーい!ポイント貯まってラッキー♪」「同じビジネスクラスなら、多少安くチケット取れた方がお得じゃん!」と思うクチなんだけど、例えばうちの夫などは、今でこそ私に教育されたために、うまくクレジットカードを使い、マイレージも気にするようになったけど、私と出会った頃は、航空会社のマイレージサービスにも入らずに、乗るのはいつもファーストクラスという人だった。車購入もニコニコ現金主義で一括でボーン、みたいな。
こういう人が本来富裕層と分類されるべきと思うけど、そういう人って別に細かなサービスとか気にしていないから、富裕層向けのサービスが響くのか謎だ。となると、企業が「富裕層向け」と謳っているサービスの大半は、実は「富裕層」向けではなく「富裕層っぽく”見える”人」「私って富裕層かもと思っている人」「気づかず富裕層の恩恵をあずかってるだけの人」向けでしかないのではないだろうか。

ちょっと話は変わって、今度はある商業施設のフィールド調査の報告会で上がってきたポイントについて。
「フロアマップとかサイン表示が分かりにくく、人がいない閑散としたエリアができてしまったり、建物全体が分かりにくい印象になってしまっている。これはユーザーエクスペリエンスを低下させてしまうので、ビジネス機会の損失になるのではないか。」というものだった。
聞いているときは、「全くそのとおりだ!」と激しく同意したのだけど、ふと道を歩きながらもう一度そのことについて考えてみた。

ほんとにビジネス機会を損失しているんだろうか?

例えば、その商業施設は我が家でも利用するのだけど、なぜ利用するかといえば「すいてるから」「比較的子どもや赤ちゃんが少なくてうるさくないから」「好きな店があるから」であって、そこのメンバーシップを持っているから、という理由は限りなく利用動機の下の方にある。その商業施設が特別好きなわけではないけど、気に入ったものがあれば、通りがかりに100万以上の買い物をすることもある。(この施設に限らず、我が家が好んで利用している施設にはどれもこの共通点がある気がする)

もし、フロアマップとサイン計画を見直し、とても分かりやすい施設になって、来場客が増えた結果、店内がごちゃごちゃするようになったら、確かに閑散としたエリアは減るかもしれないし、そうした人達が1-2万の買い物をするかもしれないけど、100万の買い物をする私達は多分そのお店には行かなくなる。

どちらがビジネス機会を損失するんだろう。もちろん、1-2万の買い物しかしなくてもそういうお客さんが100倍に増えれば、1回で100万使うお客さんを抱えるより繁盛するので、どういう性格の施設でありたいか、という方針次第なだけだけど。

しかもこれって、「富裕層」がどうか、ってことでもなく「子どもがいない我が家のような夫婦の場合」ってことなので、限りなくニッチだと思うし、仮に我が家に子どもができた場合は「ベビーカーがスムーズに進めないなんてけしからん!」とか言ってるかもしれないので、置かれた状況次第なんだけどさ。

またまた話は変わって、先日軽井沢・星のやに宿泊した。これは別記事を書こうと思うので、サラーッとだけここで書くと、確かに素敵なところで、行ってよかった!と思うけれども、「(すごい、良いとは)言っても、こんなもんか」というのが正直なところだった。何かがダメだったわけじゃなく(厳密に言えば、ダメなポイントはいくつかあるけど)、全てが想定範囲内だった。

星のやといい、洞爺湖ウィンザーホテルといい、レセプションエリアでのウェルカムドリンク、という時間が「あなた達特別です」感を演出してるだけでしかなく表面的で、上質なサービスを体験したことがない人が企画してるんじゃないだろうか?と感じてしまうのよね。

もはやテーマが「富裕層向けUXとは」から「河内家的に嬉しいサービスとは」にずれてしまってるけど、要は

  • めんどくさくない
  • うざくない
  • 待たせない

というのが必須要素。これは、「このサービス、ナイス!」って思う要素というよりは、「このサービス、まぁ、悪くないね」に達するための最低要件であって、これが「ナイス!」の評価になるためには、プラスαが必要。

例えば先に挙げた六本木ヒルズコミュニティパスポートPREMIUM PASSPORTでいえば、確か駐車場無料といった特典があるけど、駐車場無料なんかじゃなく、エクスクルーシブなvalet parkingを有料で提供してくれた方がうれしいし、西武のCLUB ON PLATINUMで言えば、専属外商担当がついてバシバシ電話くれたり、専用ラウンジでお茶出してくれるよりも、パラパラ各お店から来るハガキをまとめて一括でファイリングして送ってくれる方がよかったり、ホテルでいえば、パブリックなレセプションエリアでウェルカムしてくれるより、さっさとお部屋に通してくれてそこでチェックインさせてくれた方がよっぽど嬉しい。とかとか。

しかし、私が

  • めんどくさくない
  • うざくない
  • 待たせない

を挙げる理由は、「私がそうであって欲しいと思っているから」というよりも、この要素全てが夫の機嫌の維持に影響するからである。

夫と一緒にどこかに行ったりするときには、そこで見聞き、感じることを共有して、楽しく過ごしたいし、そのためには夫が不機嫌になると困る。機嫌がよくサービスを受け、またその提供されるサービスを夫が気に入った場合には、永続的な利用が見込めるので、結果的に私も永続的にそれを一緒に利用できるのでメリットがある、ということ。

デザイナーやプランナーは自分以外の誰かのためにデザインする時、そのインサイトを深く知るためにユーザー調査を行ない、得られた結果をデザインに利用できるようモデリングを行うと思うんだけど、我が家のようなユーザーの場合、あまりにも意思決定のパラメーターが多すぎて、そして場当たり的なので、モデル化できないんじゃないかと、ふと心配になってしまう。

心配というか、我が家でさえそうなんだから、金銭的な制約事項がない(可能性の高い)富裕層の場合、意思決定の際に、より強く影響を及ぼす外部要因というのが多く、また想定外なものが多い気がして、だからこそ、そういう層向けのサービス設計やユーザーエクスペリエンスデザインができるのは誰なのかな?と最近興味を持っている。

—–追記(8/19/2010)—–

ある方から、日本の富裕層のほとんどは、地方在住で土地を持ち、駐車場やアパートを経営している団塊世代で、日本の富裕層向けサービスの多くはそこに設定されている、と教えていただきました。都会でお金をどんどん使う富裕層というのは少数派で、そこへのサービスはまだ少ないようです。