武蔵野美術大学のオープンキャンパス
今日は、小平にある武蔵野美術大学(通称:ムサビ)まで。
オープンキャンパスです。
来年4月に開設される、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科。
新学部・学科開設はムサビ始まって以来の大事件です!
http://ci.musabi.ac.jp/
で、なぜムサビのオープンキャンパスに行ったのかといいますと、私のボス(いろいろ仕事やってますが、本業であるデザイン会社コンセントの方のボス)長谷川さんが、「造形構想学部クリエイティブイノベーション学科」そして「大学院造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコース」の教授に就任することが決まったから、そしてオープンキャンパスでのトークイベントに登壇するからです。
⇒ 武蔵野美術大学の新学部・研究科の教授にデザイン会社コンセントの代表 長谷川敦士が着任決定 〜2018年6月9日、10日開催のオープンキャンパスでの新学科関連イベントに登壇〜
いやー、ムサビ、遠い…。
青山からだと1時間半ぐらいかかります…。
オープンキャンパスでは「クリエイティブイノベーションの時代」と題されたトークイベントと、「クリエイティブイノベーションキャラパン」というワークショップにお邪魔しました。
トークイベントは、10:40から1号館103教室での開催。
段々教室懐かしいわぁ〜。
トークイベント
造形構想学部長(2019年4月着任予定)篠原規行先生のセッション
これから教育の現場では、体験を通して知識を定着する「アクティブ・ラーニング」が取り入れられ一層重要になっていく。しかし、そもそもそれは美大における造形教育が80年も前からやってきていたことである。そうした造形力を武器に、物事を立体的に見る力を養い、また実技を通して構想力を身に着け、美術やデザインと言われる領域以外までどんどん広げる、そういう人材を育成していくのが、新設の造形構想学部である、というお話をされていました。
「デザインのいま」造形構想学部クリエイティブイノベーション学科教授(2019年4月着任予定)長谷川敦士, Ph. Dのセッション
(デザイン会社コンセントの代表でもあることから)デザイン会社コンセントでは造形力を使ってどう社会に役立てるか、ということをやっていると話し、デザインを使って社会に出て働くということがどういうことかに少し言及。
デザインの対象はプロダクト(機能など)からサービス(体験など)へと移り変わってきておりユーザー一人ひとりの体験の重要性が上がってきている。これまでの交換価値の論理(Goods Dominant Logic)から利用価値の論理(Service Dominant Logic)へと移りゆくなかで、利用部分のデザインがより重要になってきているという背景を説明。
Goods Dominant Logic、Service Dominant Logicについては、コンセントの自社サイトに、以前長谷川が書いた記事があるので、そちらをご覧いただければ〜。
大学進学となると、サイエンスやエンジニアリング、テクノロジーといった分野もあるなかで、アートやデザインというものが一体どのような位置づけなのかも4象限の図を用いながら、「アートで培われた人間の内面なんかを理解しそれを生かして、他人のため(社会)に役立たせるのがデザインである」と説明。
このあたりの話は2年ほど前に、就活学生向けにコンセントで開催したイベント「Night Session 2017」で、長谷川が、グループ会社PIVOTの代表宮嵜さんと一緒にトークセッションで話してる内容が詳しいのでそちらを参照してもらうとよいかと。
⇒ 【対談】長谷川敦士 × 宮嵜泰成「デザイン会社が社会に果たすべき役割とは」〜 CONCENT × PIVOT Night Session 2017 より〜
また、デザインが扱う問題も、Simple Problem(単純でやさしい問題)、Complex Problems(複雑で難しい問題)、Wicked Problems(厄介で意地悪な問題)とあり、不確実なことが多い現代ではこの厄介なタイプが増加しているが、それらは従来の問題解決型ではなく、アブダクション型思考(試行錯誤しながら仮設を探索、推論していくような方法)でなければ解決できないことから、プロトタイピング的な、すなわちデザイナー的思考が、どんな分野でも必要になってきていると説明。
デンマークのMindLabなどを例として挙げながら(何年か前MindLabのオフィス訪問したなぁ〜。懐かしい!)、国や企業全体をどう作るかといったところにまで関わるのがデザイナー、そういう時代になってきており、この造形構想学部で学びそういうデザイナーを目指してほしいとエールを送っていました。
「新しい学びの仕組みと特徴」武蔵野美術大学教授 井口博美先生の話
造形とともに構想(創造的思考力)ということに力点をおいているのが新設学部。
「○○だったらいいのに、○○すればいいのに」といった「タラレバ」ではなく、知識と技を習得し自分の想い(○○ならいいな)をいかに、社会のために実現させるかが大事で、新設学部はそのための場である。
その新設学部が求める受験生像は、
- 文系か理系かで迷っている(どちらでもない)
- 小さいころは天才、秀才だった…(今は…)
- 浪人覚悟で美大を目指している
- 新しいもの好き、欲張り
- (AI時代に向けた)新しい職業に興味がある
そして、新学科の受験に関する特徴は、
- 実技試験なしで受験できる
- (ゆえに)一般大学との併願が容易である
- 自分に合った受験方法が選択できる
- 地方入試もある(※大阪会場)
- 大学院は社会人にも配慮(都心市ヶ谷キャンパスで、クォーター制)
ということで、美大というとデッサンなど絵が描けることが第一条件のイメージがあるし、実際に実技があるのが一般的だと思うけど、新設学部では「創造的思考力」が生命線であり、「”絵を描く” から ”未来を描く”」ことを重視していることを強調していました。これはけっこう画期的な気がします!!!
やりたい仕事は自分で作っていく時代。
これまでの造形学部が輩出してきた人材はどちらかといえば、作る側(仕事を受ける側)の人材。
一方の、新設造形構想学部は、プロデュース側(仕事を作る側)の人材を輩出していく、と述べていたのも印象的でした。
ワークショップ〜クリエイティブイノベーションキャラバン
11:40からは2号館204教室で、ワークショップ。
トークイベントに参加していない学生さんもいるので、改めて、新設学科について簡単に紹介しながら、
クリエイティブ/創造的であることとは
- 五感を使って観察すること
- 深く理解すること
- 分解・組み合わせてこの世にない、必要な新しいものを考えること
- そしてそれを具現化すること
そして、イノベーションとは
- これまで組み合わせられていなかったものを組み合わせて、(必要な)新しいものを作り出すこと
と解説されました。
ワークはグループで行うので、各テーブルごとワークを交えつつの自己紹介タイムがあり、その後は、上記「イノベーション」の難しさを体験できるミニワーク。
具体的には、似ているものを連想するのは簡単だけど、概念的に全く似ていないものをパッと想像するのは難しいというような体験。
その後、本題「現在の傘が抱える問題の一つを解決する方法」をテーマにグループワーク。
5グループぐらいいたんだけど、各チームとも、課題の設定やそれに対する解決策がさまざま。
最後は長谷川さんからグループの発表ごとに講評。
新しい意味というものに着眼していたり、いくつかの解決策を出した上で比較検討するアプローチを取っていたり、些細なことだけど実は普段から気になっていたという日常の気づきに着目したり、傘単体ではなく他との連動で生態系で考えたり、概念的課題をわりと現実的かつ具体的な策で解決しようとしていたり…と、短時間でのワークにも関わらず、そして何よりも、まだ美大に入ったわけでもない(主に)高校生によるワークであったにも関わらず、普段ブレストやワークに慣れてる私が聞いていても「ほほぉ!」と思うようなものが多く、とても興味深いものでした。
まさに今どの分野でも必要とされているデザイン。
新学部は海外のアートスクールなどとの連携や、企業や自治体との連携プロジェクトもかなり充実するらしいので、旧来型のデザイン(アート)教育ではなかなか実現できていないかったところまで踏み込んで学べそうです。
詳しくは造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科の特設サイトをご覧ください。
http://ci.musabi.ac.jp/
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それから、「学部に入りなおすのはなぁ〜」「大学院もちょっとハードル高いなぁ〜」という、そこのあなた。デザイン会社コンセントでは、こうしたことを実践で学べます。
学べるというか、プロジェクトなので当然それなりの専門性が必要なわけですが、さまざなタイプのプロジェクトが経験でき、まさにアカデミック分野での経験が豊富な長谷川をはじめ、得意分野が全然違う面白いメンバーがたくさんいて、社内勉強会、共有会、交流会が超盛んなので(同一時間帯に複数走ることもあるぐらい)、たくさんの刺激があります。
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