リスボンでパスポートを盗まれたら
(6月23日に下書きした話)
今回、夫の社員旅行で8名でポルトガルに来ています。リスボンとポルトにそれぞれ3泊という日程。
今日は正午の電車でリスボンからポルトに電車で移動する日だったのですが、SANTA APOLONIA駅で電車を待つ間にいたカフェで、社員の一人が置き引き被害に遭い、パスポートを含むすべての貴重品を紛失するという災難に見舞われてしまいました。
夫の会社の社員でもない私が、なぜ同行しているかといえば、夫の身の回りの世話ということ以上に、何かあった時のトラブルシューター役だから。
発車まであと10分というところでの災難で、みんなで周辺を捜索しても見つからず、そうこうしてるうちに発車時刻が迫っていたので、被害者となってしまったY君と一緒に私がリスボンに残ることにして、みんなをポルトに送り出して、リスボンでトラブルシュート。
この記事はそんな記録です。
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そもそもどんな状況で置き引きにあったのかと言えば、発車時刻まで30分ぐらいあったので、お茶でもしようかということで、8人でプラットフォームにあるカフェにいた時。
カフェと言っても待合室に毛が生えたぐらいのものなんだけど。
4人がけテーブル一つと、近くのベンチ、そしてテーブルの後ろにあった2人がけテーブルをもう一つ押さえたような席の取り方。
私がまとめてドリンクを買って配布したあとは、みんな適当に座ったり、写真撮りに行ったり、トイレ行ったり。
そのうちY君が「あれ、バッグがない」と言い始めた。この旅行中、斜めがけにして持っていたバッグ。昨日、美術館に入る時、私のペットボトルの水を入れてもらったカモフラ柄のバッグ。
最初はみんな「そんなはずないでしょ」って感じだったけど、周りを見渡してもないし、誰かが「さっきトイレに行った時忘れてきたんでは?」と聞いても「トイレから戻ってきてからテーブルの上に置いた」とY君。
みんなで「えーっ!」となり、状況を確認。
Y君は2人がけの方のテーブルについていた。聞けば、目の前のテーブルの上にバッグを置き、iPhoneをいじっていたのだという。そして気づいたらバッグがなくなっていたのだとか。
目の前に置いていたのになくなるとは!
ま、私なら、目の前や膝の上だとしても、習慣的にストラップや持ち手に腕をひっかけておくのだが、1人行動でもなくグループでいたし、発車までもう少しだし、まさか盗難に遭うかもとは思いもしなかったのだろう。
iPhoneにあまりに気を取られていたのか、あるいは彼の背中側に座っていた誰かと喋るために少し振り向いたのか、とにかく、バッグはどこかに行ってしまったのだ。
バッグがないということが決定的になった時にはすでに発車間近となっていた。
パスポート、クレジットカード、キャッシュカード、スーツケースの鍵、フライトのeチケットなど貴重品全部入りのバッグ。見つからないとしても、ここで手続きをしていかなければならないだろう。英語もできない被害者の彼だけ残すわけにもいかない。
というわけで、私がY君とリスボンに残ることにして、残りの6人を見送ったのでした。

この写真を撮ってた時にはまさかそんなトラブルが起こるとは想像もしていなかった。
盗難にあったらすること
ガイドブックにも書いてあるだろうけれど、実際に私たちがやったことは、
- 大使館への連絡
- クレジットカードやキャッシュカードの停止
- 警察署で盗難被害証明書の発行
- 大使館で渡航証明書の発行
- 移動手段の再確保
では、順に。
大使館への連絡
まずは在ポルトガル日本大使館に電話。
在リスボン日本大使館
http://www.pt.emb-japan.go.jp/jp/emb_annai/annai_index.htm
これはみんなを電車に乗せる前にやった。そもそもポルトに移動していいかを判断するために。まぁ、移動しちゃダメだろうなとは思いつつ念のため。
ポルトにも領事館があると思われるのだが、リスボンから正午の電車に乗ると現地到着が3時間後、領事館に行けたとしても夕方で、役所仕事であることを考えるとその日中にカタをつけるは無理だろうと思った。
ポルトに移動せずリスボンに残ることにした理由は3つ
- 領事館より首都であるリスボンの大使館の方が確実だろうということ
- その日中にカタをつけたいという時間的なこと
- 今回の旅程のなかでこの日が最も予定がなかったということ(基本的にはリスボンからポルトへの移動のみ)
大使館への電話では、どこの警察に行ったらいいか、どうやって行ったらいいか、なんの書類を持っていかないといけないかを教えてもらった。
そして午後イチぐらいに来てもらえればなんとか今日中には渡航証明書を発行できるだろう、とのことだった。
あとから思ったことだけど、事前に大使館に連絡しておくと着いてからもスムーズなので、何をすべきかわかっているとしても連絡しておくのがおすすめ。
警察への移動
Santa Apoloniaの駅から青い線のメトロに乗り、Restauradores駅を出てキョロキョロしたらすぐ警察があると言われたけど、でかいスーツケースを持っていたので地下鉄ではなくUberで移動。Uberを使ったのにはもう他にも理由がある。
- 手持ちのキャッシュが限られていたので不測の事態に備えてできるだけクレジット利用にしておきたかったこと
- 移動中でもできるだけ手続きなど進めたかったこと
など。
移動の車のなかではクレジットカードをとめる電話。これは本人にしかできないので、Y君が電話。幸か不幸か、iPhoneをいじっている最中の被害であり、彼のiPhoneは手元にあったので。
クレジットカード番号の控えはなかったけど、なんとか止めることができた。
とても親切な女性のUberドライバーで、Restauradores駅につくと、警察の前に車をつけてくれただけでなく、ほんとにその入り口であってるかどうか、わざわざ車を降りて確認までしに行ってくれた。
Tourism Police Stationという、こじんまりとした4つぐらいしか窓口がないところ。部屋に入っても案内してくれるような親切なサービスもなく、タッチパネルの端末が目に入ったので、なんとなくEnglishと押したら、それっぽいメニューがあったので受付票を発券。
ま、区役所とかと同じ要領で番号で呼ばれたら窓口へ。
事情を説明し、盗難被害証明書的なものの発行を要件として伝えると、パソコン画面とキーボードを差し出され、テキストエディターにあらかじめ記された必要項目を埋めるよう指示される。
久々のUSキーボード。配列が違うので手間取る。
Y君の名前、日本の住所、電話番号、メールアドレスなどを記入。
その後、バッグの特徴、なかに何が入っていたかなどを聞かれたので、私が通訳しながら回答。
オフォサーが作った書類が何枚かプリントアウトされ、内容が正しいことを確認してサイン。
被害証明書として1枚をうけとって、終了。
大使館への移動
次は大使館。大使館は朝チェックアウトしたばかりのホテルのそばだった。またUberを呼ぶ。待ってる間にY君は銀行カードの紛失と停止の手続きの電話。こちらはわりと簡単にできたようだった。
Uberは地図上では目と鼻の先にいるようにみえるのに全く動かない。どうしたのかと思ってUberドライバーに電話してみると、目の前にいる赤いトラックが進まないため後続車が全部スタックしているのだという。とりあえず、私たちがUberのところまで歩いていくことにして合流。
結局、赤いトラックは一体なぜ停まっていたのか誰にも分からないまま、しばらくしたらなんとか動いた。「すぐ近くにポリスがいるのに、ポリスは全然何もしてくれないんだ!」とUberドライバーがぼやいていた。
赤いトラックのあとはスムーズ。あっという間に、在ポルトガル日本大使館が入っているオフィスビルに到着。
6階にある大使館に行くためエレベーターに向かう。エレベーターホールにはセキュリティみたいな人がいたけど特に止められるでもなくエレベーターに乗り込む。
6階に降りると左手が大使館の入り口のようだった。ガラス越しにセキュリティガードのおじさんと保安検査設備が見える。
その扉に向かって行くと、おじさんにダメだと制止され、エレベーター前のインターフォンを指差される。
インターフォンを押して要件を伝えると、ビジター証明書を持ってるかと聞かれ、1階のセキュリティで発行してもらうよう指示される。
その様子を見ていたおじさんが、スーツケースは置いて行っていいよというのでスーツケースを置いて1階へ。
1階のセキュリティのおじさんは「お、お前たち、戻ってきたな。」といった表情を浮かべてるので、事情を話すと、ポルトガル語で何か言ってる。しかし何言ってるか分からない。近くにいた女性が腕時計を指差して「2時、2時」という。よく分からないが、14時にならないと受け付けないということのようだった。ランチタイムなのだろうか。
時計を見ると13時45分頃だった。
14時までもう少し。
証明写真の入手
そういえば、駅から大使館に電話をかけた時、被害証明書のほか、パスポート用の写真を持ってこいと言われていたのを思い出した。そして、証明書写真を撮れるところが大使館のビルの近くにあると言われていたけど、どこだったかな。
ビル周辺を見渡しても見当たらず、仕方なくビルの入り口で大使館にまた電話。
大使館を背にして左に進むと、Marqués de Pombalというメトロの駅があり、メトロの階段降りとすぐに写真屋さんがあると教わったので駅に向かった。
すぐにKodakの黄色いロゴが目に入った。
コインを入れて撮影できるフォトブースもあると聞いた気がするけど、そんなものは見当たらず、昔ながらの方法で写真撮影。なんだか可笑しくてププッとなる。
パスポートサイズの写真6枚で5ユーロ。
大使館への入館
そうこうしてたらちょうど14時。
エレベーターホールに戻り、さっきのおじさんに緑色の紙のビジター証明書を発行してもらった。
それを持ってまたエレベーターで6階へ。
インターフォンのカメラでビジター証明書を見せて、左手のドアから中へ。
セキュリティガードのおじさんに、iPhone、バッテリー、パソコンを預け、それ以外の荷物はスキャン。自分もセキュリティゲートくぐって中へ。
窓口で事情を話して必要書類をもらい記入。
今回は滞在期間短いし、残り数日のポルト滞在が終わればそのまま日本に帰るだけなので、パスポートではなく渡航証明書を発行してもらう。それにしても、パスポート番号や帰国便の便名情報、滞在先ホテル名は必要だった。
パスポート番号は、パスポートを撮影したものがY君のiPhoneに残っていたし、本来帰国便のeチケット原本が必要らしかったけど、それも紛失していたので、社員旅行でみんなで来ていてみんな同じ便ということを話したら、私のeチケットでとりあえずOKということになって、無事に書類を記入して提出。
「1時間ほどで発行できるので16時頃に戻って来てください。」
大使館のセキュリティで、iPhone、バッテリー、パソコンを返してもらって、スーツケースは預けたまま、外へ。気づけばランチもしていなかったので、とりあえずランチすることに。
ランチ
時間も限られているし、Yelpを見てもランチ営業は終わってる店も多く、近さ優先で通りを渡ったところにあるカフェへ。
なんとなく2人ともパスタを注文。
シーフードとかステーキとかの方が無難だと思いつつ怖いもの見たさで。
Y君はカルボナーラ、私はリコッタチーズとほうれん草のラヴィオリを注文。
私のやつは、まぁ、想定範囲内だとして、Y君のカルボナーラ…。なぜトマト。なぜシャビシャビ。
渡航証明書の受け取り
16時にカフェを出て大使館へ。
無事に渡航証明書が発行された。
本来は発行に戸籍謄本が必要であり、しかし状況的に便宜を図ってもらっているので、帰国後、速やかに戸籍謄本を送ると誓約書を書いた。
ちなみに今回、トルコ航空のイスタンブール経由便を使っているので、渡航証明書もイスタンブール経由の制限がついている。
もしなんらかの理由でフライトに変更が生じた場合どうなるか聞いたところ、いかなる理由にせよ、必ずイスタンブール経由で帰るよう言われた。航空会社を変える場合でも。
あ、そうそう、渡航証明書発行には20ユーロかかりました。
今回たまたまY君は一人旅ではなかったからいいけど、これが一人旅だったら、お金とかの工面も大変だっただろうと思う。(大使館はまだいいとして移動とか)
移動手段の再確保と移動
大使館を後にして、ポルトに向かうべく、またまたSanta Apoloniaへ。Uberで。
ランチしながら電車を調べていて、まぁ、うまくいけば時間的には17:00か17:30のに乗れるだろうと踏んでいた。
しかし道が混んでいたのもあり駅に着いたのは17:00ぴったり。チケット販売窓口も行列になっていたし、17:30分の便か…と思っていたところ窓口で告げられたのは「早くて19:30。それ以前は全部満席。」とのことだった。
ゲゲー。2時間もある。さらに電車で3時間ぐらいかかる。これはいっそ、飛行機使った方が早いか?と思って調べたけど、空港の場所がまた逆方向だし、諦めて、駅の近くのカフェへ。
私がカフェで仕事してる間、Y君は自らのスーツケースをピッキングw
パスポート問題は一旦解決したものの、バッグに入っていたスーツケースの鍵は紛失したままで見つかる見込みもない。そこで、TSAロックをピッキング。
普段から私はヘアピンと安全ピンを持ち歩いているんだけど、スタイリングではなくこんなところで役に立つとは!
1時間半ぐらい格闘した末、なんと2箇所のロック解除に成功!ww
めちゃ嬉しそう!不幸のなかにも小さな幸せは見つけられるものである。
19時頃カフェを出て駅へ。
電光掲示板にはまだ私たちの列車のプラットフォーム番号が出ていない。
私たちの便以外は全部出ているのに。
発車時刻が近づいても出ない。
あと5分を切ったあたりでようやく表示された。
ちなみに日本とは違って、ホームにはどの位置にどの車両がどの位置なのかの表示がなく、電車が来るまで分からないため、スピードを落として電車がホームに入り始めるとともに、車両番号を確認しながらホームを歩き進める。
私たちの車両は随分と遠いところで、車両到達時点で発車時刻をわずかに過ぎていた。
無事に席を見つけてホッとすると間も無く発車。
さようなら、リスボン。
ポルト到着予定時刻は22:39。
けっこう夜遅いな。
—ここからは6/26 乗継地のイスタンブールで追記—
結局、リスボン出発が遅れたのでポルト到着は23時過ぎだった。
当初予定では、Campanhã駅まで乗る予定だったけど、先発隊からの情報で、一駅手前の、よりホテルに近いらしいVila Nova de Gaia駅で降りた。
この駅、ターミナル駅でもなんでもない感じで、ホームは、スーツケースを持った人が1人歩いたら幅いっぱいって感じであった。改札も駅舎もなくいきなり外と言っても過言ではないぐらい。しかもすごい住宅地。ほんとにこんなとこで降りてよかったのか不安がよぎる…。
その割には外が騒がしい。
先発隊から「ポルトはピコピコ祭りで混雑してる」とメッセが来てたけど、それがなんのことか分かったのは、駅に降り立ってからであった。
謎のフェスティバルの真っ最中だった。
プラスティックハンマーでピコピコと道行く人々の頭を叩くという祭り。駅から通りに出て車待ってる間に、何人に頭叩かれたことか。
子供たちは躊躇なく叩いていくけど、紳士などは申し訳なさそうに、でも「いい?」と目で訴えながらピコピコ叩いていく。
St.Johnのお祭りらしい。日本語だと聖ヨハネ祭りか?ホテルまでの道すがらUberドライバーに教えてもらった。その後、別の人から聞いた話では昔はピコピコハンマーではなく、ポロネギで叩いていたそうだ。
なんか警察行ったり大使館行ったり、また何か盗まれたりハプニングが起きないかと気を張ってて疲れたけど、一気に全てがギャグみたいになったww
この祭り、スタートが夜からのようなんだけど、これのせいでポルトにかなりの人が押し寄せていたらしく、電車が満席で取れなかったのもなるほど…と思った。
というわけで、これが、1日のお話。
教訓としては、言われ尽くしていることではあるけれども海外に行く時には、
- パスポートの控え(せめて番号だけでも)を持っておく
- クレジットカードの番号や紛失時の連絡先は控えておく
- スーツケースに鍵はかけない方が無難
ということだろうか。
3番目はセキュリティ的には「?」となるかもしれないのだが、ピッキング素人のY君でさえ、TSAロックを解除できるぐらいなので、窃盗団であればピッキングは朝飯前だろうし、そもそも壊されるだけのことである。
鍵をかけたところで、そんなにセキュリティは担保されないってことを考えると、鍵をかけなくてもいいんじゃないかなと(ユースホステルとかそういう宿での話はまた別)。
特に今回の場合、Y君にとってスーツケースが開いたということは、この上なく心の安定につながったに違いない。 良くも悪くもPCもスーツケースのなかに入っていたので。
スリや置き引きが多いよと聞いていても、「自分には起こるはずがない」と、みんな心のどこかで思っている。
でも、「うそーっ!」と思うことは起こるもので、改めて自分も気をつけないと…と思ったハプニングだった。
みなさまも、気をつけましょう。そしてよい旅を!
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