世界遺産、Mycenae(ミケーネ)遺跡へ
9月23日、エピダヴロス遺跡を訪問した後、車で移動しミケーネ遺跡へ。
それにしても、こうした遺跡めぐりをしていると、砂ぼこりにまみれてる実感がとてもあり、車に戻った時にAmanzoeのスタッフ(ドライバーのヤニスさん)が、トランクに積んだクーラーボックスからおしぼりを出して渡してくれるのがとてもうれしい。
エピダヴロスとミケーネ間は車で30〜40分だったかしら…。寝落ちしてしまったのでよく覚えていない。
アクロポリスの原型とも言われる、そばにそびえ立つ山に築かれた城塞が、駐車エリアからもすぐ見えて、早く中を見たい気持ちに駆られる。
ミケーネの考古学博物館
けれども、また、まずは考古学博物館からスタート。
ここでも犬猫たちはフリーダム。
まず博物館の入り口入ったところに、犬がデーンと涼しそうに寝てます。この子、賢いな。ここクーラーきいてるしねw
そうだ、この遺跡、博物館の入館料込で12ユーロするっぽいんだけど、この日とその翌日は、「European Heritage Days」とやらで、入場料が無料でした。
さて、さまざまな都市国家ができるようになるギリシャ。
ギリシャにはアクロポリスが100個ぐらいあるそうです。
このアクロポリスという言葉、「アクロ(高いところ)」+「ポリス(町、都市)」という言葉から成り立ってます。ちなみに、日本語でも使われる「アクロバット」という言葉は、「アクロ(高いところ)」+「バット(歩く)」から来てるそう。
紀元前1600年頃〜西暦2世紀頃まであったと言われる、このミケーネの町。その後は無人となり、またすっかり忘れさられていたのが、ホメロスの叙事詩に魅せられた少年が、神話だと信じられていたこのミケーネの町が実在だと信じ、大人になってから発掘し、それがこの古代遺跡の発見につながったのだとか。
それが、ドイツ人の考古学者ハインリッヒ・シュリーマン。貿易商として大成功を収めた人のようだけど、それもこれもすべて考古学に資金を投じるためであって、いざ発掘に行くとなったら、あっさりその事業は後身に譲ったらしい。
博物館では色々見学。
お祈りのポーズをしている偶像。お祈りのポーズは、両手を上にあげている。これは、手のひらの中心がエネルギーの中心と考えられているからだとか。
ブロンズと動物の皮でできた「8」の字型の盾。模様部分が動物の皮そのものの模様らしい。
アガメムノンの黄金のマスク。シュリーマンはこれをアガメムノン王のものだと信じていたけれど、後の調査では、これはアガメムノンよりも前の時代のものであることがわかったらしい。
アクセサリーは、権力の象徴でもあるし、あの世のお守りでもあるため、よく遺体と一緒に埋葬されたのだそう。
ちなみに、通常お墓には次の3つのものを入れるそうです。
- 生前大事にしていたもの
- あの世への道中に必要なもの
- アクセサリー
生前大事にしていたものは、男性であれば武器、女性であれば化粧品、子どもであればおもちゃなど。あの世への道中に必要なものは、パンや卵など。そして、前述の通り、あの世でのお守りとなるアクセサリー。
ボクシングやレスリングの絵も。
こうした競技のアスリートたちは、身を守りつつ滑らないようにするため(?)、身体にオリーブオイルと砂を塗って競技に臨んだらしい。競技の後には、汗や血も混じって、その砂やオリーブオイルはドロドロになるわけだけれども、それらをそぎ取る道具というものも壺と一緒に展示されていた。
なぜそぎ取るかといえば、もちろん、お風呂に入る前に大きな汚れを落とすというのもあるけれど、そもそも、その勝者の汗や血の混じった砂とオリーブオイルは薬として高く売れたらしく、そぎ取って壺に入れて売ったんだそうです。キモっ!
各国でミケーネのものが発掘されていることから、3,500年前(紀元前1600〜1200年)から英国や、エジプト、シリア、スペイン、アフガニスタンなど、各国と交易があったことも分かっている。
女性の墓からは、アクセサリーなどのほか、ツイーザー(毛抜き)も見つかってる!
「今も昔も変わらないのよ。人間が考えることは一緒!」by ガイドのコリーナさん
博物館からは山が見える。
岩山にオリーブの木や、低い松の木、これがギリシャの典型的な風景。
そして、月桂樹(ダフネ)なんかもある。
アポロ神の競技の賞品は月桂樹の冠であり、オリンピック競技の賞品はオリーブの冠だったんだって。博物館を出たところにちょうど、月桂樹の木があった。コリーナさんが一枝折って「あげますよ」と言って私にくれた。
勝手に木を折っていいんだろうか…。
ま、日本みたいに細かいことは気にしないのか。ちょっとこするとすごくいい香り。
この日は、大昔に買ったラルフローレンのカーキのアウトドアシャツを着ていたんだけど、ちょうど胸ポケットがあったので、その後ずっと胸に月桂樹を挿しておきました。
ミケーネの古代遺跡
早速、遺跡へ!
入り口は立派なライオンゲート(獅子の門=Lion Gate)。実際には頭部分が欠落してしまっているからライオンかどうかわからないけど、体のつくりからそうだろうと考えられている。そして、当時の王家の家紋がライオンのモチーフだったと考えられている。
両サイドの石垣も、門も、でかい。14メートルもあるそう。
こうした巨大な建築物を当時どうやって作ったのか、論理的に説明が付かないことから、ここでも神話が登場。キクロプスという獣が作ったことになっているらしい。それゆえ、「キクロプス」の城壁とも呼ばれているそうです。
門をくぐってすぐ右手には円形墓地。
さきほどの博物館でみた黄金のマスクや金の装身具などなどはここから発掘されているそう。墓地の穴からは、大人と子どもの両方からは見つかっていて、すなわち家族で同じところに埋葬されたんだろうとのこと。
円形墓地からさらに丘を上っていくと宮殿がある。
宮殿といったって、土台の一部が残っているだけだけど、資料で、当時はこんなだっただろうという絵を見せてもらったら、それはそれはカラフルで贅沢な空間が広がっていた。
そうはいっても、現地では全く何もすごそうな感じがなくて、写真すら撮ってない。
また、こんな丘の上にあるけれども、けっこう狭く険しい道なので、馬車などは入ってこれない。それゆえ、王様でさえも、ライオンゲートのあたりから宮殿までは歩いて登ったと考えられているそう。足腰鍛えられますね。
また、ミケーネのこの宮殿のすごいところは水がきちんと確保されていたこと。貯水池が確認されている。
ミケーネ遺跡の丘の上まで登ると、景色がすばらしい。
はるか遠くにナフプリオンの港が見え、またその近くの丘の上にも城っぽいものがあるのが見える。
そうやって、こちら側からは見えるのだけど、ガイドのコリーナさん曰く、「ガイドだし、ここにミケーネの遺跡があるとわかった上で、ナフプリオンの方からものすごく目を凝らして見ても、ここは全然わからないのよ」とのこと。
つまり、こちら側からは周囲の様子がよく見えるのに、ミケーネの石づくりの城壁が、ギリシャらしい岩山にすっかりカモフラージュされて全く見分けがつかないという戦略的利点もあるということ。すごいな、ミケーネ。
しかし、世界史でミケーネ文明なんて習ったっけ?こんなにすごいのに全く記憶にない。聞き覚えすらない。
ちなみに、ミケーネ人はとても戦闘的な民族だったそうです。
ヘルメットは動物の歯でできてる。かっこいい。
アトレウスの宝庫(Treasury of Atreus)
アクロポリスの原型とされる、丘の上にできた宮殿からちょっと離れたところに(車で1分ぐらい)、つりがね式の墓、アトレウスの宝庫と呼ばれる場所がある。
ここは、自然の丘の形を活かして作られた構造物で丘のてっぺんに穴をあけてそこから、掘る形で、直径14.5メートル、高さ13.4メートルのつりがね型になっている。
長さ36メートル、幅6メートルの通廊を通って内部に入ることができる。
ここの墓地は、前述の通り、建築の際、上部に穴を作ってるんだけど、そこがきちんと塞がれなかったことから、かなりの盗掘にあい、発見された時には遺体も含めすべての埋葬品がなくなり、何も発見されなかったとのこと。
何も発見されてないんじゃ、宝庫じゃないじゃん!…と突っ込んだ人は私だけではないであろう。
残念!
というわけで、エピダヴロス遺跡もミケーネ遺跡もそれなりに満喫したんだけど、実は衝撃の事実が!
(続く)