IA Summit 2017の所感

ias17
今年もIA Summit(情報アーキテクチャの国際会議)に出席させてもらった。

IA Summit
http://www.iasummit.org/

コンセントからは、長谷川、中垣、森部、私の4名で参加。

今年のIA Summitのテーマは「Designing for Humans 〜IA, meet AI」で、3月24日〜26日まで、カナダのバンクーバーで開催された。

「Designing for Humans 〜IA, meet AI」

人のためのデザイン。
トピックとしてはまさにAI(人工知能)、Bot、Taxonomyといったあたりで、今っぽいし、情報アーキテクチャらしくもある。

一つひとつのセッションは、スライドやビデオが公開されるので、興味ある方はそれらを見ていただくとして、このブログ記事では、IA Summitに毎年参加しなんとなく流れで掴んでいる私の、今年の所感をまとめ、ご紹介したいと思う。

今年のIA Summitは、カナダの先住民マスクエアム(Musqueam)の首長(?)から歓迎のスピーチとドラムを叩きながらの歌でスタート。こういう人たちのことをFirst Nationと呼ぶということを初めて知った。アメリカだといわゆるインディアンはNative Americanと呼ばれるけど、Native AmericanだとCanadianは含まれないということになってしまうので、北米先住民のことはFirst Nationと呼ぶらしい。

余談だけども…。

さて、今年のIA Summitのプログラムはここで見ることができる。
https://iasummit2017.sched.com/

私的キーワード3つと所感

さて、今年の空気感として私のセンサーにひっかかったキーワードは以下の3つである。

  • Eco
  • Power of The Truth
  • Intention / Intentional

感覚的でもあるし、全セッションを紹介というのも現実的ではないから、事細かには書けないけど、一つ一つをちょっとだけ説明。

ちなみに、去年のIA Summit 2016の所感は、こちらをご覧いただこう。
http://chibirashka.jp/blog/2016/05/08/ia-summit-2016-atlanta/

Eco

エコは、IAやサービスデザインなどの領域に身をおいていると「あー、エコシステム(生態系)でしょ」となるのだが、もちろんそれも含まれつつ、案外ベタに、一般消費者がとらえる「エコ」の意味、つまり、環境配慮や、農業などグリーンな方のエコも包含されていたのが興味深い。

Opening Keynoteは、現在は農場のオーナーである“ソフトウェアアルケミスト”のAlan Cooper氏によるものだったのだが、農業とソフトウェアには共通点があるという話で、農業では大型農業化し、ファーミングファクトリー(自然な形で牧畜などが行われるのではなく、屠殺のためだけに家畜が狭い屋内農場で生産されるような)が拡大してきている。ソフトウェア産業もスケーリングが重視され、ファクトリービジネスによる金儲けになっていて、コアバリューはないがしろにされがち。奪ったり金儲け主義のインベスターのようにではなく、(食べるものを作ることで)人々の暮らしを支えているエコロジカルコンシャスなファーマーのように振る舞え、というメッセージであった。これ以外のセッションでも、ここ数年のIA Summitでの「システムシンキング」「エコシステム」の流れを汲んだものは多くみられた。

と、同時に、私はセッションに出ていないのでかいつまんで聞いた話だけれど、James Christie氏による「Sustainable UX」というセッションでは、情報過多はCO2排出により地球環境に負担をかけているのでデータリダクションについても考慮せよという話だったとか。

Power of The Truth

フェイクニュースだのが横行している昨今、特に何が真実で、何がそうでないかということがわかりにくくなっている。昔からだって「経済誌や茶番だ」とかいうような話はあるし、陰謀論好きな人というのもいて、そもそも真実を見極めるのは難しい。しかし以前と何が違うかって、情報操作をすることや正しくない流れを作ることが、権力をもった人やメディアだけでなく、ごく普通の人にも極めて簡単にできてしまうようになってしまっていること。また、人間ではない人工知能による判断というものも、現実として今後どんどん増えていく。そうしたなかだからこそ、真理・真実というものの価値はあがっているのだろう。

Closing PlenaryはDan Klyn氏によるものだったけれど、彼は「ArchitectとDesignerは違う。問題解決だけではないのだ。Designerとはソリューションを見つけ、真理をも見つけるのだ。」と言っていた(と思う…)。単に複雑さを明快にするのではなく、真実を明らかにするということの責任がデザイナーに求められている。

Intention / Intentional

毎年、IA Summitには耳に残るキーワードというのがある。それは必ずしも直接的にカンファレンスのテーマのなかに言葉として入ってはいないのだが、明らかに、意図をもって、スピーカー達がプレゼンテーションに組み込んでいる、もしくは、オーガナイザーからの指示がなくとも自然とどのスピーカーも使ってしまうほどに、現時点での課題意識として多くの人(スピーカー)に認識されている、そういうものなのではないかと思う。

私の感覚的なところもあるので、キーワードのレベル感はさまざまだが、過去には例えば「IAからUX」「FUN」「ユニコーン」「ダイバーシティ」など、その年を象徴するような言葉というのがある。

私が感じるところによる今年のそれは「Intention」や「Intentional」であった。つまり「目的をもった」とか「意図的な」とか、そういうこと。

Dr. Elizabeth Churchillによる2日目朝のキーノート「Peope in an AI Mindset」では「Don’t be unconscious about consciousness(自覚的であることに無自覚になるな)」というメッセージがあった。

また、印象的なフレームワークの紹介により今年を象徴するセッションの一つだったと思われる、BBCのDan Ramsden氏による「What’s the Point of IA」のなかでも、何度かIntetionallyという言葉が使われていたように記憶している。

HCDの限界というかパラドックスを明かした「Decentering Design or A Critique of HCD」のなかでもThomas Wendt氏は「デザイナーはイマジネーションをインテンショナリーに使わなければならない」と述べていた。

直接的に「Intentionally」という言葉を使っていたかどうか覚えていないけれど、本質的にそのことを言っていたであろうと思うセッションとして、Ramya Mahalingam氏の「How Cultural Relativism influence Design Decisions」もある。これは、各人のアイデンティティーはカルチャーバブルにより包まれており、人の行動や判断はカルチャーバブルの影響を多分に受けるので、デザイン上の判断、意図には大きな判断を伴うという内容であった。

さらに、私は出ていないのでどういう話かはよく知らないけど、そのままずばり「Intentionally Intentional Information Architecture」というタイトルのセッションも。

世の中をみても、誰もがヒラリーになるだろう思っていたアメリカ大統領選が、あれよあれよという間になぜかトランプ政権になってしまったり、イギリスのEU離脱の件も、蓋を開けてみたら国民投票の再実施を求める声が多くあがったり…と、そこまで自覚的ではなかったのに、思いもよらない大きな判断を下すことになってしまった、という事態が続いていることも、こうしたメッセージの裏にあるのではないか…。

特に、理解をどのように形作っていくかというプロセスにおいて(多分にそれはIAが請け負う部分でもある)、設計に携わる人の「意図」のもちどころは、最終的にできあがるものへのや使う人に対して、あるいは人工知能の学習内容に対して影響が大きい。よって、「自覚的」「意図的」でいるということは、啓蒙的メッセージでもあるけれど、同時に警鐘でもあると感じた。

さて、いくつか印象に残ったセッションもある。
前述したものもあるけれど、例えば、このあたり。

  • BBCのDan Ramsden氏による「What’s the Point of IA」
  • Ramya Mahalingam氏による「How Cultural Relativism influence Design Decisions」
  • Kyle Soucy氏による「I’m sorry I Can’t. Don’t Hate Me」
  • Thomas Wendt氏による「Decentering Design or A Critique of HCD」

簡単にでもまとめたいけど、記事が長くなるので、わけようと思う。

また、IA Summitに行ってみてちょっと思ったことというか、機会があればライトニングトークで喋ってみたいなーと思う小ネタもあるんだけど、いまいちまとまりきらないので、そのあたりについては、また別記事にしてみたいと思う。

そうだ、今回カンファレンス1日目のポスターセッションでは、コンセントの「IA Sprint for EIA」を紹介してきた。

EIA(エンタープライズ情報アーキテクチャ:グローバル企業など大規模なサイト群のIA設計)プロジェクトにおいて、「抽象度の高い構造設計(エコシステムマップ)」「サイトストラクチャ、コンテンツ分類設計」「コンテンツコアモデル設計」をウォーターフォールにではなく、同時に行うことで(しかもステークホルダーとコラボ型で)、機動的に仮説のプロトタイピングをすることができ、結果的に、納得度高くスピード感をもってIAワークを行えるというもの。

ポスターはコンセントのスライドシェアにて公開しているので、よかったらご覧ください。(後々、日本語版も作る予定だけど、取り急ぎは発表で使った英語版のオリジナルデータです)。

それから、今週木曜日(2017年4月13日)には、IA Summit報告会を兼ねたIA Meetupを開催予定。
例年よりも大きな会場を使わせていただけることになり、多くの方にご参加いただけるので、ご興味ある方はぜひお越しください。

IA Meetup Japan featuring IAS17
http://iasummit2017meetup.peatix.com

おまけ

Polar Bear Yogaにも参加

ias17 polar bear yoga カラオケナイトにも参加

This is the tradition of IA Summit. Karaoke nightこれがIA Summitの伝統、カラオケナイトです。#ias17 #vancouver #karaoke Naoko Kawachiさん(@chibirashka)がシェアした投稿 –

ABBAのDancing Queenをリクエストしてたけど、直前に別の人に歌われてしまったゆえ、急遽「アナ雪」の「Let it go」で参戦。

ias17 karaoke



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