安全ピン(Safety Pin)をつかった5つのスタイリングテクニック〜補正からスポンテニアスまで

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大統領選が終わり、次期大統領がトランプ氏に決まったアメリカでは、多くの人たちが「安全ピン」を胸につけていると聞きます。

選挙後のアメリカにまだ行っていないので、自分の目で確かめたわけではないのですが、宗教や国や性別について差別的発言をしてきたトランプ氏の勝利のあと、マイノリティに対する嫌がらせが起きているそうで、それに対して、「自分はあなたにとって安全です」という意思表示のため(=マイノリティへの支持)、人々が胸に安全ピン(Safety Pin)をつけ始めたとか。

国民投票でEU離脱が決まったあと、移民に対する差別が起きたイギリスでも、安全ピンをつけた人々の写真をネットでよく見かけました。

そんなふうに、最近は、安全ピンを目にする機会が多く、それで思い出したので、今日は安全ピンについて書こうかなと。

といっても、意見を述べる記事ではなく、あくまでスタイリングTipsとして。

バッグに常に忍ばせておける小さくも頼もしいツール、安全ピン

普段持ち歩いているものというのはいくつかあるけれど、私の場合、そのなかに必ずあるのが安全ピン。小さくて軽くて荷物になるわけではないのに、スタイリング上、けっこう大きな役割を果たしてくれることもある頼れるアイテム。

しかも、安価。
むしろ、アパレルショップによっては、値札や各種タグが安全ピンで止められていることもあるので、そういった安全ピンを捨てずにとっておけば、わざわざ買うようなものでもなく、きっとどのご家庭にもその辺に2つ、3つは転がってるようなものかなと思います。

安全ピンの5つの使いみち

さて、では、その安全ピン。
どんな風に使えるのか、私がよくやる5つをご紹介。

  1. 丈を詰める
  2. ウエストを詰める
  3. 開き具合を補正する
  4. シルエットを変える
  5. ほつれを仮止めする

1. 丈をつめる

例えばパンツの丈。私の場合、よく登場するのが黒のジャンプスーツ。ポインテッドトゥのヒールのあるパンプスでスパイシーでありつつレディライク、といった合せ方をしたいときもあれば、スニーカーでカジュアルに振り切りたいということもあります。

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左のように高めのヒールにあわせてちょっとドレッシーに着ることもあれば、右のようにスニーカーに合せてスポーティカジュアルで着たいことも

しかし、着るたびにまつり縫いするのも面倒…というズボラな私。そんな時、片足2〜4ヶ所ずつ安全ピンでとめてしまいます。

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片足2つのピンでとめる場合は、前後ではなく左右でとめるのが目立ちにくくておすすめ
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表から見えるのはこれぐらい(水色の丸のなかの点)

表から多少安全ピンが見えても足元だとそれほど目立たないですし、特にジャンプスーツなんかは夜の外出で着ることが多いので、安全ピンで十分!

2. ウエストを詰める

基本的には、ジャストサイズにお直しするほうがいいですし、ベルトループがあればベルトで締めるのもよいのですが、ウエスト周りのデザインや作りによっては、アイテムそのものの値段に対してお直し代が高くつくような場合があります。カジュアル服で、かつトップスをオーバーにして着るようなボトムスの場合は、私は安全ピンでウエストをとめてしまいます。もちろん、詰める範囲が大きいとシルエットに多少の影響が出るけれども、自分が気にするほどには人は気にしてみていないことも多いので。

たとえば、こんなウエストにフェイクレザーが使われたパンツ。

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そのままでも着れないこともないけれど、ちょっとウエストがゆるい

内側で左右それぞれウエストにフィットするようピンで適当につまんでとめる

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ピンで穴があくので、リアルレザーなど高価なものの場合にはやめておいた方が無難だけど、そうでなければこれぐらい適当に。

スカートの場合も。例えば、こんなハトメのようなメタルの飾りのついたフリンジミニスカート。

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腰骨でギリギリとまるのでそのままでも着れないこともないけれど…

サイドジッパーのあたりでウエストにフィットするようピンで適当につまんでとめます。

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このスカートはベルト芯などなくてウエストが柔らかいので、ピンでとめるのも簡単。

平置きするとこんな感じです。

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シルエットが多少変わってしまっても気にしない

「腰からずり落ちてこなければいいや、どうせウエスト部分隠れてるし…」といった、ここでもやはりズボラマインド。

3. 開き具合を補正する

胸元が大きく開いたミッドナイトブルーのレースのラップドレス。丈感、肩の位置などはピッタリなのに、私の胸にボリュームがないために、胸周りだけが少しガバガバになってしまう。そんなとき、中にキャミソールを入れて覗かせるのもアリですが、内側から安全ピンでとめて、開き具合を補正することも。

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胸元の開き具合を比較しやすいように、写真ではあえてキャミソールを差し込んでます。

けっこう深めに開いた胸元をピンでとめてこれぐらい浅くすることもあります。

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キャミソールがいらないぐらいの開き具合に

裏でこんな風に適当に安全ピンでとめているだけです。

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基本的にはピン1つでもOKですが、動いたときにピンが外れて胸に刺さることがないよう、負荷分散のために2ヶ所とめにしてます。

このワンピ、胸の開き具合を補正しなくてもなんとか着れないこともないので、欧米を旅行している時など、むしろ胸の開き具合が大きめでもそれほど気にならないケースではそのまま着たり、日本にいるときは控えめにしたり…と、その時々で安全ピンで対応。

このラップドレスを着てモンテネグロのスヴェティ・ステファンにて

4. シルエットを変える

私がバランスよく着るには少し丈が長いコクーンシルエットのワンピース。

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吊るした状態ではわかりにくいけれど、シンプルなコクーンシルエットのワンピ。

単純に丈つめするのではなく、内側を安全ピンで適当につまんで裾の長さを調整して着ています。

ワンピの内側で、ランダムに2ヶ所ぐらい適当にピンでつまんでとめます。裾から何センチのところ…と厳密に測ったりせず、気分で適当に、左右バラバラの位置でとめるのがポイント。

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この時は左右で1ヶ所ずつ。

平置きすると、ちょっとぐちゃぐちゃなように感じられますが、少し裾にバルーンのようなボリュームがでます。

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もともとの丈だと私には少し長く、また素材とゆったりしたシルエットから、そのまま着てしまうとリラックス感漂いすぎるデザイン。でも、安全ピンでとめて裾をちょっとだけアシンメトリーにして動きをつけるだけで、少し気の利いた感じになり、ジャケットやストールを合わせるとオフィス仕様にも。

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実際に着るとこんな感じ。ドレープもできて動きがでます。

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同じワンピ、同じような黒のジャケットでもピンのとめ方を少し変えるとシルエットがまた少し変わります。

5. ほつれを仮止めする

めったにないですが、床ギリギリの丈のパンツでヒールを履いているようなとき、うっかりヒールでパンツの裾を踏んでしまったり、パンツに限らずスカートでも何かの拍子でひっかけて、裾のまつり縫いが切れてほつれてしまうことがあると思います。メンディングキットを持っていればその場で縫ってしまう方がよいのですが、日中、仕事で外出している時など、そんなことも言ってられません。

ほつれの範囲が大きいと、裾がダランとなってしまい、余計にほつれが進んでいったりするので、そんな時の応急処置として安全ピンでとめておきます。

5つほどご紹介しましたが、いずれにしても、テンポラリーに!というのがポイントです。また状況としてもカジュアルなシーン、またはエマージェンシーの時に、ということです。

フォーマルな状況では、基本的には前もって色々準備しておくことが、その場で出会う人に対しての礼儀になるので、きちんとお直しに出すなどして備えておく方が無難でしょう。

今年のトレンド「スポンテニアス」にも

ところで、今年のファッショントレンドとして「スポンテニアス」というのがあります。

Spontaneous
【形】自発的な、自然に出てくる、のびのびとした、おおらかな、任意の

どことなく、計画性がなく、ちょっと奇抜さもあり、枠にはまらないような、そんなニュアンスもあり、ファッションでいうと、着る人次第でコーディネートが自由自在なスタイルとでも言ったらいいでしょうか。

袖が大きく膨らんだデザインや、ギミックが効いてシルエットに変化をつけることができるデザインのアイテムなどがあげられます。前でも後ろでも結べたり結ばずに垂らしたままにできるリボンのついたアイテムであったり、とめたりとめなかったりできる飾りとして変則的についたジッパーのあるアイテムなどもよく見かけますね。

ちょっとした遊び心で着こなしに「外し」を加えるのがポイント。

安全ピンの5つの使いみちの4つめに紹介したように、安全ピンがあれば、手持ちのアイテムのシルエットを簡単に変えることができるので、ちょっとしたスポンテニアスにも。

トレンドも意識しつつ、手持ちのアイテム同士を安全ピンでくっつけてみたり、洋服の一部を安全ピンでとめてシルエットを変えてみたり、安全ピンを使って自由なスタイリングにトライしてみてはいかがでしょう?


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