IA Summit 2016の所感
5月6日〜8日にジョージア州アトランタで開催されているIA Summit 2016もあと一日(厳密には半日)、明日を残すのみとなった。
まだ終わっていないけれど、忘れちゃうのでザクっと所感を書いておこう。
そもそも、Information ArchitectではないCommunication担当の私が毎年IA Summitに連れてきてもらっている理由(私に期待されること)はおそらく
- 野生の勘も使いつつその年の空気を読むこと
- ネットワーキングなどの特攻隊になる、あるいは日本からも来てるんだぜー!というプレゼンスのアピール隊長であること
ではないかと思われる。(違ったりして…テヘッ😋)
なんだか分からないけど、IA Summitで一年に一度会う人に、自家製ジャムや自家製はちみつをもらったり、日本に彼女たちが来るときには観光ガイドとして採用(?)されたり、パーソナルスタイリストとして相談されたり、今回は、自著や面白い手作り冊子をもらったり…と、ビジネスには直接的につながらないし、IAにもそれほど関係することでもなかったりするんだけど、なんか個人的なつながりができるのは面白い。
ま、よく分かんないけど、そういうなんというか柔らか系担当!?
IA Summitはパラレルセッションなんだけど、おおまかには、A)Theoryとか新しい概念的なものが扱われるトラック、B)実務やテクニカルなことが扱われるトラック、C)組織デザインやキャリア形成などについて扱われるトラックがあり、The IAな人々、ディレクターな人たちはだいたい前者の2つに出るので、本流から外れる私はたいてい残り物の3つめを担当することが多い。
とはいっても、この3つめも大いに盛り上がることもある。例えば2年前のImposter SyndromeではUX Unicormという言葉が出てきて、去年も今年もそれを引き継いだセッションがあったりした。
ま、各セッションについては、優秀なIAの人々が日本で報告会などもすると思われるし、すでに所感をブログなどでまとめられ始めたりもしてるので(それに私英語そんなにわかんないし)、興味ある方はそちらをフォローしていただくとして。
というわけで、本題に戻り、超感覚的に今年の空気感やテーマで気になったことを3つ挙げるとするならば、
- ダイバーシティ
- IA⇒UX⇒IAの流れ
- Taxonomist、Tagging Managerといったメタデータ、セマンティックに関連するような職種の募集が増加
って感じ。
1. ダイバーシティ
去年は、エコシステム、システムシンキングからの、万物はつながっている、我々は宇宙のごく一部!ぐらいのところにまで話が及び(違ったっけ?)、なんだか壮大なテーマだったので「来年はもう宗教の世界とか哲学の世界に行くんかなぁ〜」と、去年のIA Summitの直後は思ったものだった。しかし今年のテーマはA Broader Panoramaで、それはオムニチャネルといったようなことではなく、ダイバーシティやアクセシビリティといった展開のされ方だった。今日、2日目のクロージングキーノートでは盲目の女性がスピーカーだったことも象徴的。
2. IA⇒UX⇒IA
今年は1st Timer(初めてIA Summitに参加する人)の数が異常に多い。
IA Summitの良いところは、普段もそれなりに1st Timerがいて、変に大御所たちだけで固まってないというか淀んだりしてないところ。
なのだが、今年はとにかくパッと見で2-3割(もっと?)は1st Timerなんじゃないかと思うほどに多かった。しかし、1st Timerといっても、決して若手とか新人ということでもなく、学生もいれば年齢的に大御所みたいな人もいたりする。実際、IAには新しくてもプロジェクトマネージャーやコンピューターサイエンスのスペシャリストとして十数年、数十年のキャリアを持ってる人もいたり。
そのなかでも特筆すべきなのが、UXからIAに入ってきた人じゃないかと。しかも、それが今年だっていうのがまた象徴的だと個人的に大興奮。
なぜならばー、私が初めてIA Summitに参加したのは2009年。
「わーい!学びたかったIAのカンファレンスに来れるなんてー!ウッホホーイ!」という気分で参加したその年のIA Summitは、行ってみたら、なんか全体的に、超内省的で、超いじけムードで、IA SummiとIxD(インタラクションのカンファレンス)を統合した方がいいんじゃないのか?みたいな話があったり、極めつけはJJGによるClosing Plenaryで「IAはもういない。我々はみなUXデザイナーだ。さようならIA。」みたいな話だったりで、すっごい暗〜いジメ―っとしたカンファレンスであった。
そして実際、翌年以降からはIAよりUXDやUXアーキテクトを名乗る人が増えてきたりしていた。
のだが、ここにきて、今年!!
UXからIAに移行してる人がけっこういるっぽい。ブレイクの時に誰かと話しててもそんな話だったし、実際さっきジムからKaraoke Nightに行くとき一緒になったシアトルの女性(私より年上)も、ずっとUXやってたけど、最近になってIAもやるようになり今回初めて参加したと言っていた。
そして、UXからIAに入ってきた人が今年多いと、なんで大興奮なのかというと、今回のClosing PlenaryがまたJJGだから。そう、あの2009年に「さようならIA」のお話をした人!
あー、明日のClosing Plenaryは一体どんな話になるんでしょう!
3. Taxonomist、Tagging Managerといったメタデータ、セマンティックに関連するような職種の募集が増加
IA Summitの毎年の傾向をつかむために私がよく参照しているのはJob Board。
年によって、IA職の募集が多い時もあれば、UXアーキテクト/UXデザイナーの募集が多い時もあれば、コンテンツストラテジストの募集が多い時もある。
(ちなみにアメリカ国内での景気が悪い時には、募集の張り紙自体がめちゃ少なかったりするので、景気も感じられる)
で、今年特に目につくと感じたのが、TaxonomistやTagging Managerといった、情報の情報を扱う人々。情報の情報がなぜ必要かといえば、多分、コンピューターが理解できるフォーマットにしてあげるようにするためで、それがあることによって、デバイス間であったり、コンテキスト間であったり、さまざまなものの間を情報が自由に旅をすることができたり、人々が情報を利用しやすくなったりするから。
セッションのタイトルとかみてても、タクソノミーを扱うものがいくつかあったような気がする(感覚的には例年より多い)。ただ、その手のトラックは私が参加してないので、どういう話だったのかは分からず、なぜ今年TaxonomistやTagging Managerのような職種の募集が市場に増えているのかはよく分からない。
これについては気になるので、明日、通りかかりの人にでも聞いてみよう。まぁ、カンファレンス終了後に日本から参加したメンバーで実施するラップアップ会でもそのあたりのセッションについてはカバーされるであろう。
それにしてもタクソノミーやタギングだなんて、超IAっぽいではないか。
2のUXからIAの流れにもちょっとつながるんだけど、IA Summitでは毎年扱われるテーマが色々で、「今年はコンテンツストラテジーの話多いなー」「オムニチャネル、カスタマージャーニーの話多いなー」「サービスデザインってキーワードが出てきたぞ」など、セッションの傾向に特徴がある。UX大盛り上がりの時期は特に、カスタマージャーニーやサービスデザインって話が展開されていたけれど、UXからIAに話が戻ってきたせいか、今年はタクソノミー。興味深い。
ダイバーシティ的な写真
嘘。今日参加したワークショップの相棒。ありがとう。AT&Tのひとだった。
今年はコーヒーブレイクの間にもミニセッション的なものがあった。Christinaがスケッチノートについて紹介していた。
で、ランチタイムについたテーブルが「Sketchnote」についてディスカッションするテーブルだったゆえ、そこに座って色々喋っていたら、絵を使いながらノートを取る方法的な小さい本をもらった。そして、それとは別で、クリスティーナが著書をプレゼントしてくれた。
去年の「ユニコーン」を引き継ぐセッションもあったな。
ジョブボードに貼ってた求人の一部。タクソノミーマネージャー、タギングマネージャーといった求人が目立っていた。
—-【追記】—-
IA Summit 2016 Redux in Tokyo(IA Summit報告会)