券売機についての思い込み

券売機

この調子でヨーロッパ旅行の旅行記を追加していこうと思ったんだけど、思い出したことがあるので先に紛れ込ませておく。

牛丼屋などファーストフード店でみかける券売機とそのオペレーションについてのメンタルモデルについて。

成田に前泊する際、自宅から成田までクルマで移動したんだけど、時間がけっこう遅くホテルのレストランが開いてない気がしたので、途中、酒々井PAで夜ご飯を食べた。

松屋も入っているので、前泊の時は松屋で食べることが多いんだけど、今回は私も夫もラーメン気分だったので、PAがやっている食堂の方へ。

松屋同様、先に食券を買う仕組みだったので券売機の前で、頭上のメニュー表などを見ながら何を食べるか決めて、チャーシュー麺に決定。

券売機でチャーシュー麺のチケットを2枚買った。ここまでは良かった。

それをもって、カウンターのおばちゃんのところに行って、「お願いしまーす」と言いながら券を渡したら、ものすごい不機嫌に「もう入ってますから!」と怒られた。

一瞬、ぽっカーンとなって、「何が入ってるんだ?チャーシューか?」などと謎なことを思っていて、その場に立ち尽くしていたら、「だからー、もう注文入ってるから券はいりません。席に座っててください!」と怒られた。

怒られたというか、超イライラしながら言われた。

「えー、なにそれー!」と思いつつも、とりあえず言われるままに席に座っていると、券に書いてある番号が呼ばれ、ラーメンがでてきた。そしてチケットと引換にラーメンを受け取った。

つまりは、食券を買った時点でオーダーは厨房に入っているので、申告する必要はなかったということだ。

「え、そうなの?」と思って改めて券売機やカウンター周辺を見渡してみると、もうありとあらゆる大きさで、そんなようなことが書いてある。言われてみれば確かに!

ここにもでかでかと!

券売機

「食券は持ったままお待ちください」

ここにも

酒々井PAの食堂

「食券は持ったままお待ちください」

注文を受け付けたものと、できあがたものが一覧できるモニターまで!

酒々井PA食堂の注文システム

しかし、これだけあちこちに書いてあるにも関わらず、ウッカリさんは私だけではない様子。

私がラーメンを待っている間にも、私と同じようにカウンターに食券を持っていった人は複数人いたし、ラーメン食べてる最中もそうだった。というか、私が見てる限りにおいて、食券を買った人は全員がカウンターに食券を出しにいっていた。

ここのメニュー注文システムは全然機能してないってことになる。

で、考えるに、券売機というものについて、私たち日本人はこれまでの経験から

券売機とは

  1. メニューを選び
  2. その代金を支払うもの

という風に認識している。

でも、ここの券売機は

  1. メニューを選び
  2. その代金を支払い
  3. オーダーを厨房に伝える

ものということになっている。

機械側が担う機能が増えれば、人間側としては一つ作業が減って便利であるはずなのだが、その人間側にも実は利用者とオペレーション側という2つのグループがいてそれぞれ役割が違ううえ、さらに券売機の機能についての認識がお互い違っているので、混乱を招く結果になってしまっている。

ちなみにさっき「日本人は…」と言ったのは、券売機という仕組みが世界全体として一般的であるわけではないからだ。先日、Vivienne達の原宿観光に付き合っている時にも思ったんだけど。(※券売機というか食券機だね)

カウンターの中のおばちゃん(オペレーション側)からしてみれば「もう!!食券は持ったまま座っとけって言ってるでしょ!!(プンプン)」ってなるんだし、利用者からしてみれば「まだ注文伝えてないんだけど…(不安)」となって、券売機に新しい機能を1つ与えただけで、双方にとってアンハッピーな状況になっている。

もしかしたら、「機械が機能を1つ多くこなしているんだから、カウンターに立つべきスタッフ数は1人減らしてもいいよね」という人員配置になっているかもしれず、そうだとすると、ただでさえ忙しいおばちゃんには、むしろ余計な仕事(間違ってカウンターに来たお客さんを追い返す)が増えていることになりかねない。

多分、この券売機と注文カウンター周りでの問題は多分2つある。一つは先に述べたようにメンタルモデルの違い。もう一つはメッセージングの不適切さ。

前者については「これは食券機だ」と外観から機能を推測するので、食券機に一般的でない機能を付加するなら、外観を一般的な食券機とは変えてしまう方が、むしろいいのかもしれない。(学習コストを比較しないと分からない)

そして、後者については、コピーを変えたり、コピーの提示タイミングや物理的な場所を変更した方がいいかもしれない。

写真見ても分かる通り、あちこちに「食券は持ったままお待ちください」と書いてあって、後から言われてみれば「あー、そういうことね」と思うんだけど、食券機についての思い込みがある分、そのメッセージだとピンと来ないし、券売機の前では「何食べようかなー」とメニュー選ぶのに一生懸命だったり、「後ろの人を待たせてはいけない」というプレッシャー(?)があるので、それとは関係ないメッセージが与えられていても気づかない(私だけ?)。

いい文章がパッと思いつかないけど、要は「食券購入時点でオーダーはもう通ってます」ということが分かるといいと思うのだけど、どうだろう。

なんか、ライト、ついてますか―問題発見の人間学と同じような気がした。

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とりあえず、ラーメンは普通だった。

酒々井PAのラーメン

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