Tribute to Steve Jobs:わたしの引越し履歴とアップル製品

人は誰もが大切にされたいと願っている。
大切にされるというのは、誰かとの間に「特別な結びつき」を持ち、特別だと思ってもらうことだ。

Steve Jobsが亡くなって、彼と面識があるわけでもなくとも、たくさんの人がそれぞれの想いをSNSやblogで発信している。

自分と偉大な存在との間の共通項を、何か特別な結びつきを、それぞれが探し見出したがっているかのように。

私の場合は多分こうだ…。

Steve Jobsと私の間にある「特別な結びつき」

私が生まれた1976年にSteve JobsはAppleを設立した。

私が初めて行った海外はオーストラリアのシドニー。そしてホテルの近くにあったのがボンダイビーチ。
1998年にAppleから発売された革新的な新しいMacの色が、このボンダイビーチにちなんだボンダイブルーと聞いて心踊ったのを覚えている。

iMac Bondi Blue

iMac Bondi Blue。写真はwikiから拝借。

そうして私が初めて自分で買ったのが初代のiMac。通信会社の広報室にいた時。

1995年頃短大の情報処理のクラスでHTMLを書いたりということはあったけど、HTMLやDTPといったことに興味を持ったり独学でサイト作ったりしたのは家にiMacが来てからだし、PhotoshopやIllustratorといったツールのトライアルクラスなんかも取って、結局、これは面白そうだと思って、会社まで辞めてアメリカの大学に留学してしまった。

かっこ良くいえば、「Steve JobsのAppleなくして、私は今この業界にいない」。他の多くの人と同じように。

渡米する時には、ラップトップが必要と思い、日々食べるのにも事欠くぐらいの暮らしだったのにどうやってその費用を捻出したのか謎だけど(多分、ボーナスを投入したんでしょう)、1999年末にPowerBook G3 Lombard(Bronze)を買って、連れていった。買いに行くのに付き合ってくれたのって、確か同じ広報室のガジェット好きな先輩だったと思うけど、ほんの1-2週間前にFacebookでつながり久々にお喋りできたのも感慨深い…。

Power Book G3 Lombard

Power Book G3 Lombard。古いデータCD引っ張り出して、当時の写真を発掘!

Lombardは「座布団」とか揶揄されていたな

Lombardは「座布団」とか揶揄されていたな。こちらも昔の写真を発掘。

アメリカでは色んなことがあったけど、Lombardのおかげで大学を卒業できたといっても過言ではないでしょう。学校のコンピュータラボだけで全部やろうと思ったら絶対無理だった…。最後の方は、1週間に1回ぐらいフォーマットしないと調子悪くて全然使えない!っていうぐらいだったけど、それでも好きだったなー、Lombard

最初の結婚やら離婚やらの頃は、17インチiMac G4 Flat Panel

iMac Flat Panel

iMac Flat Panel。写真はwikiから拝借。

この頃はほぼ会社に住んでいて家に帰っていなかったから、サブマシンとして使っていたパナソニックのLet’s noteの方が身近だった。Windowsと共に歩んだ暗黒時代(謎)
会社ではG3かG4のタワーだった気がする。

2006年に離婚して会社も辞めて今の旦那さまと再婚の準備などしていた頃は、白いMacBook

MacBook

MacBook。こちらもwikiから拝借。

2008年にコンセントに入って支給されたのはMacBook Air

2009年2月には、半年ほど出遅れつつもiPhone3G
2009年11月には、夫のとすり替えてiPhone3GSに。

iPhone 3Gと3GS

iPhone 3Gと3GS

2010年にはiPhone4と初代iPad

iPhone4

iPhone4

iPad

iPad

入社以来使っていたMBAは、つい最近まで使っていたけど、あまりにスローなので、半年ぐらい前に長谷川さんが買ったMBAをお下がりで融通してもらった。それが2011年8月。

そして、最新のMacBook Air(11インチ)を自宅用に買い直したのがつい先週(2011年9月)

MacBook Air 11", 13"

MacBook Air 11", 13"

もちろんこの10年ぐらいの間に、iPodは、ClassiciPod Mini 2台、iPod nanoなどを持っていた。
ほかにもShufflenanoを人にプレゼントしたり。

何かを思い出そうとする時、私の場合は「どの家に住んでいたか」「どのマシンを使っていたか」が手がかりになる。どんな携帯を使っていたかは覚えていなくてもどのマシンがそばにあったかは覚えている。それだけ1日のうちで過ごす時間が長いからということだと思うけど、これまでのマシンの大半がApple製品なので、私の20代以降の記憶はApple製品とセットになって刻まれている。

「特別な関係」がユーザーエクスペリエンス

私はここ数年、あちこちに行ったり、いいホテルに泊まったり、高額なものを買うという状況だったり、そういうことに恵まれているので、「いい体験とは何か」「富裕層向けのサービスは一体誰が作ることができるのか」といったことにとても興味を持っているのだけど、ユーザーエクスペリエンスというのは、「●●をやったことがあります」という単なる体験ではないし、あるいは、「これって使いやすいね」ということでもない。

色々と考えた結果、「自分が特別な存在として大切にされていると感じることができるかどうか」に尽きると思っている。つまりそのサービスやプロダクトとユーザーの間に「特別な関係」が築けるかどうか。

「特別だ」と感じることができるかどうかは、ユーザー側のこれまでの体験や価値観に依存するので、全く同じサービスを受けても「私って特別に扱われているわ」と思う人と、「それって普通じゃん」と思う人が出てきてしまう。

Appleのプロダクトがすごいなと思うのは、どのレイヤーのユーザーでも、自分が持っているAppleのプロダクトに対して彼らなりの愛着と満足を見つけ、特別な存在として見ていて、そのプロダクトを使っている自分が少しだけ特別に思えているように見えること。

グローバルな「特別な関係」

そしてAppleは、マクドナルドのようにグローバルでユニバーサル!

私は辺境の地のようなところには旅行しないけれども、それでも、海外でApple Storeがあれば、マクドナルドを見つけた時のようにほっとする。「言葉が通じなくてもぼったくられることもなく、何かは絶対食べれる」というマクドナルドのように、「ここに来ればWifiにつなげるし、Appleのスタッフはフレンドリーなはず」というような安心感だろうか。

Apple Storeというリアルな場ができて本当に良かった。

そして、Appleのプロダクトは、全くの他人の間にもコミュニケーションを生んだりするのだ。
南仏・ニースのマルシェでそうであったように。

「特別な関係」はコンテキストを超える

今日1日、TwitterやFacebook、CNNやBBCを見ていて、国や地域、職業、性別、年齢…etcといった、さまざまな背景を超えて、多くの人が彼の死を悼み、感謝の念を述べている様子を見ると、なんだか、世界平和でさえ実現できそうな勢いだ。

直接的にSteve Jobsと面識がなくとも、自分が特別だと感じられる、大切にされているように感じる、誇らしく思える、少なくとも感じていたいと思える、そういう関係性を、革新的な製品やライフスタイルを通じて築いたSteve Jobs

Steve Jobsが亡くなっても、身の回りのApple製品がなくなるわけではないし、世界中のApple Storeもいつも通り営業している。

今夜のアップルストア(渋谷)アップルロゴの照明は落ちていた

Apple Store(Shibuya)はたくさんの人だかりと花束。アップルロゴの照明は落ちていた

大切にしてくれる人のことは、大切にしたいと思う。
自分が特別だと感じさせてくれる人にはやはり特別な関係を感じる。

Steve Jobsが直接、ユーザーひとりひとりに「あなたは特別です」と言ってくれたわけではないにせよ、そしてそんなつもりもなかったかもしれないし、特別感を感じているのは勝手なことかもしれないけれど、それでもやはり多くの人が感じた「特別な関係」の喪失感は計り知れない。

ソフトバンクの孫さんが、Steve Jobsを「昔で言えばレオナルド・ダ・ヴィンチ」と形容していた。
現代のレオナルド・ダ・ヴィンチと同じ時代を生きたということはなんだかすごい感じがするな。

R.I.P WE LOVE Steve Jobs

"R.I.P WE LOVE Steve Jobs" taken in front of Apple Store Shibuya - TOKYO

Thank you and R.I.P Steve Jobs

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One Comment

  1. akihiro より:

    緑のiMacはトモん家で前に見てまだ覚えてるけど
    今見てもすてき!って思うデザインだよね。

    俺が初めて触ったマシンも
    尚からもらった座布団式のやつだったし。

    いまiPhoneやMacBook使ってるのも
    たぶんその影響(笑)

    ジョブズの作ったものが
    うちでも脈々と受け継がれていってるなぁ
    って思うと感慨深い!

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