ミュンヘンで救急搬送

夫がホテルで倒れる

ミュンヘン到着日、Rocco Forte The Charles Hotelにチェックインし、ホテルの周りを一回りした頃にはもう19時頃だった。

疲れていたから、夜ご飯は簡単にルームサービスで済ませようといって、チキンブレストののったシーザーサラダと、キッズメニューの中からチキンナゲット&フレンチフライのプレート、そしてドイツビールを注文した。注文の電話のあたりから、夫がお腹が痛いといったバスルームにしばらくいたけど、注文した料理が届く頃になっても出てこないので、どうしたのかと思ってみにいったら、バスルームに大の字になって転がっていた。

うちの夫は全然汗をかかない人なんだけど、バスタブで溺れたのかと思うぐらい、Tシャツとかもびしょびしょになるぐらい大汗をかいていて、しかも、お腹より今度は頭痛がひどいと訴えていた。

頭痛持ちでもない夫が頭痛くて転げまわるほどだなんてよっぽどだ。しかも、ちょっと吐いたというようなことも言っていた。頭がいたくて嘔吐となると最悪じゃないか!脳卒中とか脳梗塞とかそういう病気だったら困ると思って、医療手配することにした。(中略)

救急隊による処置

救急隊がホテルの人と一緒に部屋にやってきた。救急隊は女の子2人と男の子1人という編成。オレンジの鮮やかな色のパンツに白のポロシャツというユニフォーム。手には心拍とか色々モニターできるような機材などなど。

とりあえず脈だの血圧だの測りはじめていたけど、救急隊でさえも驚きの、血圧200オーバーを叩き出した(うぉいっ!)

彼らも、「ありえない!」といった様子で、時間を置きながら何度も測っていたけど、200を下回ることはなく、血圧が高いことが原因で頭痛につながっていると言う。

この高血圧が続くのは危ないし、実際のところ、検査してみないと頭痛のほんとの原因も分からないから、やはり病院に行きましょうということになって、夫は点滴を打たれつつ担架に乗せられた。私も、とりあえず身分証明だの、夫の靴だの、最悪病院に宿泊かもと思い、上着などなどを持って夫と一緒に救急車に乗り込んだ。

「夜中にこんな迷惑かけてごめんね」と伝えながら部屋を出たけど、ホテルの人もとても心配そうに見送ってくれた。

救急車で病院へ

救急車に乗ると、1年半ほど前、これまた夫が肺気胸で救急搬送された時のことがよぎる。

救急車の中でも、保険関連の手続き(救急車の支払いと病院の支払いは別っぽい)、問診みたいなことなどが続き、英語でやり取りしてるんだけど、うっかりすると、救急隊の子も私にドイツ語で色々話しかけてきて、「あ、ドイツ語分からないんだったね」とはたと気付いて、みんなでクスクス笑ったり、そんな和んだ瞬間もあったり。私が分かるドイツ語は、「こんにちは」「ありがとう」「ダックスフント」「ビール2つください」それだけ。救急車で使えるワードが「ありがとう」しかないww

担架や同伴者が乗るエリアと運転席のエリアの境にある窓の所には、エンジェルのぬいぐるみが。

大学の病院に連れていくとかいうようなことを言われた。
病院には10分とかからずにすぐついて夜間救急的なところに連れていかれる。

病院でのやりとり

院内は暗く陰鬱な感じ。救急隊とはそこでバイバイ。あとは先生から「ドクターほにゃららです。宜しく。」と挨拶を受け、夫はベッドに寝かされ、またまた心電図とったり、血圧を再度図ったり。その頃には頭痛も多少和らいでいたようだけど、完全に治ったわけでもなさそうで、結局CT取ることになった。

しかし厄介だったのが英語。英語というかやり取り。救急隊もドクターたちも、(私も含め)誰一人英語が第一言語(あるいは流暢)の人はいなく、お互いなんとか知ってる英語でやりとりする感じで、もどかしさとかもあって、説明にラチがあかないとお互い笑っちゃうみたいな、そんな感じ。

状況的には笑ってちゃダメなんだろうけど、人間、ほんとよくわからんという状況の時には笑ってしまうのだ。前に、フランス語のお試しレッスンを受けにいった時もそうだった。

持病はあるかとか、入院したことはあるかとか色々聞かれるんだけど「肺気胸って英語でなんていうんだっけな」とかって感じで、病名を伝えられない。

「肺に穴があいて、空気がもれて、肺が半分ぐらいに潰れちゃって、救急搬送されたことがある」というようにめちゃ説明的にしか言えないというか。ま、それでも「oh, I see, I see.」とかわかってもらえるんだけど。

CT撮るのにけっこう待たされ、その間夫はベッドで寝ていたけど、私はベッド脇にある、キャスター付きの簡易的な丸椅子に座って様子を見ていた。成田からの長距離移動ですっかり疲れて眠いのに、寄りかかる壁もなく、キャスター椅子だから、うっかりどこかに寄りかかろうとしたら、椅子転がって自分も落ちそうになるので、全く油断できない。

病院のトイレ

トイレに行きたいと思っていると、夫が寝ているベッドのある簡易部屋と受付チックなカウンターのそばにトイレっぽい入り口を発見。「Frei」とサインがかかっていた。Freiってなんだ?トイレのことか?と思いつつ、iPhoneにドイツ語会話だか辞書だかのアプリを入れていたのを思い出し調べたら「無料の」という意味だと分かった。

海外だと有料のトイレも多いから、それに対しての「無料」なんだろうか。いや、でも病院のトイレまで有料だとは思えないから「無料」っていうとちょっと不自然。それとも、freeというか、自由に使って良しという意味なんだろうか。ちょうどその時スタッフが通りかかったので、トイレ借りて良いか聞いて入ってみた。すると、カギがない。もう一度外に出て別のスタッフを捕まえて、これってどうやってカギかけるの?と聞いたら、カギはないと言う。「ふーん。」まー、いいや。とりあえず入った。

となると、「Frei」は「Vacant」みたいな意味だったのかなー。反対にひっくり返すと「Occupied」みたいな意味の事が書いてあったりしたんだろうか。

今となっては調べようもないけど、気になる。

CT検査

しばらくしてCTを撮れることになって部屋を移動。腎臓に病気はあるか、肝臓はどうか、などなど、CTを受ける時にもまた別のドクターとアシスタントから質問と説明を受ける。

このドクターがほとんど英語ができない人だったので、アシスタントみたいな男の子がなんとか助けてくれたんだけど、救急隊の時よりもさらに英語が困難、みたいな。

「CT撮るためにContrast Mediaを入れるけど、これを入れると熱くなったように感じる。でもそれは普通のことだから心配しなくて良い。でもCTに入ると人によっては具合悪くなったりするので、異常を感じたら教えるように。」などなど。

相手も英語できないけど、私の夫はさらに英語が全くダメ。しかしCT撮る時、私は退室しなくてはならないので、夫に今の状況とこれから起きることを説明し、何か異常を感じたらドクターに伝えるようにと指示を出して、部屋を出た。

そもそもContrast Mediaってなんだろ。よくわからんものについてよく説明できたもんだ(謎)。

※Contrast Mediaを今調べてみた。造影剤らしい。へぇ〜。私もCTやったことあるけど、そんなの入れたっけなー。

とりあえずCTは無事に終わり、その結果が出るまでまたしばらく待たされる。夫はベッドでまたガン寝。私はほとほと丸椅子が嫌になったので、部屋を出て廊下に並んでいるプラスチックの椅子3席ほどを陣取って横になってみた。隣の席には、チンピラ風な若い男の子達がギャーギャーやっててちょっと怖かった。けど、怖いより眠い方が勝って、しばらく横に。

そのうち、アシスタント君みたいな子が結果が出たよと呼びにきてくれた。

結果は、なんともなかった。血液検査もCTも何の異常もなし。
やはり異常な高血圧が原因のようだった。痛み止めの点滴を打ったりもしていたし、少し眠ったのも良かったのか、その頃には夫もすっきりした感じになっていて、ドクターが言うことに関して私に全部通訳を求めるぐらいうざくなっていた(謎)

とりあえずドイツ語だけれども診断書とCTや血液検査、心電図の結果など一式もらって、クレジットカード付帯の医療サービスのスタッフともやり取りして保険の手続きもやった。

このやり取りがまたおかしかった。

ホテルで医療手配する時に入手した、Parisの医療サービスデスク的なところに病院から国際電話をかけさせてもらった。

私がその電話をしている間に、病院のスタッフは別の電話の対応をしていた。

そのうち私の電話の相手が「病院の人に代わって」と言う。だから、別の電話で対応中の病院スタッフの彼に「なんか、電話代わってって言われてるんだけど」と言ったら、その男の子も「実は僕の電話の相手も君に代わってとか言ってるんだよね」と言うので、なんかよく分からないけど、可笑しくて2人でクスクス笑いながら、謎の電話交換をした。

とりあえず手続きは大丈夫そうだったので、お互いの電話が終わった後、その彼にタクシーを呼んでもらって、ホテルに帰ることにした。

入院不要でホテルへ

旅行初日の救急搬送だったので、せっかく来たけど、すぐ緊急帰国になるかもなーと覚悟もしていた。翌日からの旅行についてドクターと話したら、高血圧はどうせすぐに治るものでもないし、頭痛が治っているなら、普通に過ごして大丈夫だから、旅行もしてよいと言われたので、若干肩透かしを食らったような感じ。

夜の街を見ながらタクシーでホテルへ。着いたのは多分02:00AMとか。

ほんとに予定通り旅行を続行するなら、5:30AMには起きて7:30AMにはベルヒテスガーデンへのツアーに行かなくてはいけない。さすがにそれは無理だろ、と思ったけど、当の夫が行く気満点だったので、結局気合でなんとかすることにした。

すっかりシナシナになったサラダのレタスのかけらと、覚めてしまったナゲットをちょっとだけつまんでベッドに入った。

すっかり冷めたルームサービス

それにしても、日本でも救急搬送なんて滅多にないのに、旅行でこんな経験ができるなんてある意味ではオイシイではないかとちょっと思った。そして、救急隊や機材、病院、その他サイン類などなど、全部写真撮りたいー!とずっと思っていたけど、夫がそんな状況の時まで写真撮ってたら、「ジャパニーズはやっぱり変だ」とか思われそうで我慢して撮らなかった。残念だ…。

唯一撮った、救急搬送の断片達。救急隊がホテルの部屋に残していった、何かのパッケージ。

救急隊がホテルの部屋に残していった何かのパッケージ

ちなみに連れていってもらった病院は、

Medizinische Klinik
KLINIKUM DER UNIVERSITAT MUNCHEN


大きな地図で見る

Share

One Comment

  1. […] ミュンヘンで救急搬送:ミュンヘン到着日に夫が倒れたという話 […]

Leave a Reply

CAPTCHA